2012 Fiscal Year Research-status Report
特定機能病院における認知症高齢者への看護の課題と有効な援助の検討
Project/Area Number |
24792566
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
木島 輝美 札幌医科大学, 保健医療学部, 講師 (40363709)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 認知症 / 高齢者 / 特定機能病院 / 看護 / インタビュー |
Research Abstract |
【目的】本研究は、特定機能病院に勤務する看護師を対象として、認知症高齢者を看護する上での困難や工夫、現状の課題について明らかにすることを目的とした。 【方法】対象者は平成24年9月~平成25年3月に特定機能病院2施設に勤務する看護師とした。対象看護師の勤務病棟は、小児科、精神科、産科周産期科、ICU・救急を除き、比較的高齢者の入院割合が高い病棟とした。各病棟師長に認知症高齢者の看護を経験したことがある看護師で、中堅看護師以上の能力を有する者を1~2名選定を依頼した。データ収集方法は半構成的面接法とし、インタビュー内容は、①対象者の基本属性 ②認知症高齢者の看護上の困難やうまくいった事例・場面 ③認知症高齢者への看護で大切にしていること ⑤特定機能病院における認知症高齢者の看護の課題についてであった。本研究は研究代表者の所属機関の倫理委員会より承認をうけて実施した。 【結果】対象者は特定機能病院に勤務する看護師24名で、勤務病棟は内科系7病棟12名、外科系7病棟12名であった。認知症高齢者への看護を実践する上での困難は、外科系では点滴やドレーンの抜去など事故防止に対する困難が多く語られた。内科系では内服の自己管理の困難や入院の長期化による生活の不活発化への対応の困難が語られた。特定機能病院という先端医療を提供する場として、外科系・内科系問わず認知症高齢者自身の治療に対する意思決定の困難さについて語られていた。有効だった看護としては、認知症高齢者が安心して過ごせるような環境づくりについて語られていた。多忙な勤務の中でも認知症高齢者のペースに合わせながら、生活背景についての情報収集を行い、その人らしさを発揮できるような援助を実践していた。 今後は、特定機能病院における認知症高齢者への看護の困難や有効な援助方法を明らかにするために、平成25年度も継続して分析を深めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画では、対象者へのインタビューは平成25年度前期までに終了するとしていたが、平成24年度末までに当初予定の20名を上回る対象者のインタビューを終了できた。 また、インタビューで得られた内容を概観すると、先端治療を必要とする特定機能病院の特性からくる認知症高齢者への看護の困難性についての語りもあり、本研究の目的に適ったデータであると考えられる。 これらのことから本研究はおおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、平成24年度に録音したインタビューデータの逐語録を作成する。また並行して分析も進め、特定機能病院に入院した認知症高齢者への看護の困難性、対応とその工夫、大切にしていること、今後の課題などに関する内容を抽出し、類似した意味内容ごとに比較分類してカテゴリー化する。データ分析の妥当性については、必要時、研究協力者に結果をフィードバックして確認したり、特定機能病院の看護や認知症ケアに精通した者のスーパーバイズを受けるなど精度を高めつつ分析をすすめる。 分析結果から、特定機能病院における認知症高齢者への看護の困難の特性や有効な援助の方向性を見出す。 研究結果は、日本認知症ケア学会や日本老年看護学会等の認知症高齢者ケアに関連した学会において発表する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額は、備品としてパーソナルコンピュータを購入しなかったために生じたものである。パーソナルコンピュータは、データ分析および論文作成のために購入予定であったが、平成24年度はデータ収集を中心に実施したため、データ分析に着手せず購入が遅れた経緯がある。今後は平成25年度の早期にパーソナルコンピュータを購入し、データ分析や論文作成に着手する予定である。その際、情報漏えいを防ぐためにパーソナルコンピュータはインターネットに接続せず、個人情報入力専用として使用する予定である。その他、論文作成にあたり関連書籍を購入する予定である。 旅費等は、研究成果発表のため関連学会への出席のために使用予定である。 人件費・謝金等は、データ入力や資料整理などの依頼、成果発表時の翻訳・校閲料のために使用する予定である。 その他、資料収集のための複写費、成果発表のための学会発表用ポスターの印刷や学会誌投稿料に使用する予定である。
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