2014 Fiscal Year Annual Research Report
特定機能病院における認知症高齢者への看護の課題と有効な援助の検討
Project/Area Number |
24792566
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
木島 輝美 札幌医科大学, 保健医療学部, 講師 (40363709)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 認知症 / 高齢者 / 看護 / 特定機能病院 / 急性期病院 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、特定機能病院のような先端医療の場でも認知症高齢者が安心して治療・処置を受けられる看護モデルを構築するための基礎資料として、特定機能病院に勤務する看護師が認知症高齢者をケアする上での困難や工夫、現状における課題について明らかにすることを目的とした。 対象者は、特定機能病院2施設で勤務する中堅看護師以上の能力を有する看護師24名(経験年数5~22年)であった。半構成的面接により得られた逐語録から認知症高齢者へのケア上の困難や工夫に関する内容を抽出し、意味内容の類似性に従って集めて抽象度を高めた。また本研究は札幌医科大学倫理委員会の承認を得て実施した。 看護上の困難では、【展開の早い急性期での認知症ケアの限界】、【事故防止の難しさ】、【ケアの拒否や理解力の低下】、【他患者とのケアの優先度の問題】、【認知症を知る機会の少なさ】、【先端治療と生活機能低下のジレンマ】、【退院調整の困難】の7つのカテゴリーが抽出された。 看護上の工夫では、【家族の見守りや病室環境の整備】、【家族の疲労や認知症理解に対する支援】、【その人らしい生活を守る】、【本人の混乱を招かないための配慮】、【事故防止の抑制と代替手段】、【せん妄予防を意識したケア】、【看護チームや他職種との連携】、【早期から退院を見据えた調整】の8つのカテゴリーが抽出された。 看護師はその人らしい生活の尊重や環境づくりなどのケアを工夫していたが、高度化した医療現場では事故防止とせん妄予防が最優先され、本人の混乱を回避することに留まっていた。また、先端治療により疾患は治癒しても生活機能が低下してしまい退院調整が困難となるケースがあることから、入院早期から本人・家族の意思を確認しながら多職種が連携して認知症高齢者が持てる力を発揮して生活機能低下を予防する介入の必要性が示唆された。
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Research Products
(2 results)