2013 Fiscal Year Research-status Report
精神看護者の心理的距離に関する臨床判断・看護行動の類型化及び新人教育ガイドライン
Project/Area Number |
24792585
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Research Institution | University of Kochi |
Principal Investigator |
槇本 香 高知県立大学, 看護学部, 助教 (00611972)
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Keywords | 心理的距離 / 臨床判断 / 精神科看護者 / 教育ガイドライン |
Research Abstract |
平成25年度は平成24年度に行った、文献検討とインタビューガイドの洗練化を受け、主にインタビュー調査を中心に行った。インタビューでは臨床経験年数や職位・ポジションも様々な対象者を選定し実施した。また、対象者が所属する部署としても、デイケアや病棟などであり、病棟だけに限定しないことで、より幅広くデータを収集することにつながった。対象者が語った患者の疾患群としては統合失調症、気分障害、摂食障害とバリエーション豊かに語っていただき、今後ガイドラインを作成するにあたって、貴重なデータを得ることができた。 得られたデータには「状況への判断」、「患者の病状への判断」、「看護者と患者の関係性への判断」、「看護者自身の違和感への判断」、「チームの力動に関する判断」が含まれていた。また、看護者の行動としては、「一定の距離感を保って見守る」、「患者からの反応を待つ」、「看護者の思いを伝える」、「いつも変わらず側にいることを示し続ける」などが見られた。 現時点ではデータ数が限られているが、今後更にデータを蓄積し、分析をより深めてくことで、本研究の最終目標である新人看護師教育ガイドラインの作成につなげることができると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成25年度はインタビュー調査で得られたデータをもとに、精神科看護者の臨床判断・看護行動の類型化を図る予定であり、インタビュー調査とデータ分析を中心に行う予定であった。平成24年度にインタビューガイドを再考し洗練化させる作業に時間をかけ、平成25年度はデータ収集・データ分析に時間を要したため、全体の進捗状況としてはやや遅れている。また、得られたデータは対象者数が十分とは言い難い。 しかし、データの内容としては、対象者の臨床経験年数や対象者の所属先、語られた患者の診断名や病状、看護者との関わりの状況は様々で、豊かなデータが含まれていた。今後、更にデータ数を増やし、分析を深めていくことで、臨床判断・看護行動の類型化および新人看護師教育ガイドラインの作成につなげていくことが可能であると考える。 全体的な達成度としてはやや遅れてはいるものの、平成25年度のインタビュー調査およびデータ分析において、看護者の臨床判断・看護行動の一部分は抽出されているため、これらを基盤にしながら、今後のデータ収集と分析を更に進めていくことが可能であると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、平成25年度に行ったインタビュー調査とデータ分析を引き続き行い、精神科看護者の心理的距離に関する臨床判断と看護行動の抽出を行っていく。データ収集と分析を同時に行い、都度、分析内容を吟味しながらデータの偏りがないか確認をし、より効率的にインタビュー調査を進められるよう工夫する。 平成26年度は当初の予定では新人看護師向けの教育ガイドラインを作成することを計画に挙げていた。現段階ではガイドライン作成に向けて、データ収集が十分であるとは言えないため、インタビュー調査およびデータ分析を継続して行い、ガイドラインの作成に向けて計画的に進めていく。新人看護師向けの教育ガイドラインについてはパンフレット化を目指し、研究成果は学会発表や論文投稿できるよう、準備を進めていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度はインタビュー調査およびデータ分析を主に行った。インタビュー調査では、データ数が少なかったことと、他府県へのインタビュー調査が予定よりも少なかったことなどにより、人件費、旅費、謝金等の支出が抑えられたため、平成26年度への繰り越し金が発生した。 データをより豊かにするために、平成26年度はインタビュー調査の範囲を他府県に伸ばすことを検討しているため、交通費・宿泊費等が必要となる。また、研究に関する新たな知見を得るために、学会に参加し情報収集を図るための旅費等も必要である。さらに研究の妥当性、信頼性を高めるために文献や書籍の購入も必要であり、ガイドラインの作成に向けて、文具類等の物品費、消耗品費として使用することを計画している。
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