2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24792588
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
内ヶ島 伸也 北海道医療大学, 看護福祉学部, 講師 (80364264)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 認知症 / 高齢者 / 意思決定 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、認知症高齢者の意思決定を支援するためのアプローチとして、認知症高齢者の意思決定能力をどのように評価することが可能であるのか、また、そうした評価方法によって認知症高齢者の意思決定能力の特徴がどのように描き出されるのかを検討することを目的としている。 本研究は、認知症高齢者との個別面接によってデータを収集するものであり、前年度(第2年度)までに面接で使用する質問紙および面接方法について検討を重ねてきた。第3年度にあたる平成26年度では、前年度までに検討してきた質問紙を用いた面接調査を実施してデータ収集を本格的に開始した。また、認知症高齢者の意思決定能力の特徴を描き出すために、認知症ではない高齢者(対照群)への面接調査も同時にすすめた。69人の対象者に面接調査を実施した結果、認知機能障害の重症度に応じて意思決定するために必要とされる能力の一部が減弱していることを示唆する結果を得た。意思決定する際に必要な情報を理解することや、決定がもたらす生活への影響について説明することは、認知機能障害の影響を受けて困難になっていく可能性がうかがえた一方で、設定された状況を問題として認識することや、その状況で自分なら何を選択するかを表明することについては、認知症ではない高齢者と同様の回答を示す傾向であった。これは、これまで使用していた質問紙での面接調査においても認められた傾向であり、本研究において対象者にわかりやすいよう工夫して準備した質問紙および面接方法が妥当であったことを示しているともいえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度は、前年度までに検討を重ねてきた質問紙β版を完成版へ仕上げつつ、臨床への活用へつなげていくために実践者からのフィードバックを受けるところを目標としていた。前年度において、質問紙β版作成および面接方法の検討に当初の予定よりも時間が必要になり、本格的なデータ収集にまで至らなかった影響を受けて、実践者からのフィードバックを十分に得られたとは言い難い状況ではあったが、ケアマネージャーや介護職員たちから面接時に用いる言葉や表現方法の工夫について意見をもらうことはできた。それによって、臨床場面での活用に展開していくための留意点などの検討は始められ、検討した質問紙および面接方法に問題も認めないため、全体的にはおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の申請当初の目標は、認知症高齢者の意思決定能力を評価するためのツールを作成することであり、次年度(平成27年度)は最終年度にあたる。本研究では、認知症高齢者の意思決定を支援するためのアプローチのひとつとして、意思決定能力に注目し、認知症のために弱めている能力や環境などの影響を受けやすい能力などをどのように評価することができるのか、そうした能力はどのように描き出されるのかを知るところから始めようと試みている。その成果は、臨床への活用へつながっていかなければ意味がなく、今後は臨床実践者との議論や実際に意思決定を必要とする場面での試用を予定している。また、意思決定能力は認知症の進行やその他の影響を受けてどのように変化していくのかにも注目しており、同一対象者への面接を次年度中にさらに2回行う予定である。
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Causes of Carryover |
前年度(平成25年度)で、質問紙と面接方法の検討で時間を必要としたためにデータ収集のための旅費や人件費・謝金に差額が生じたこと、今年度は本格的にデータ収集を開始しているが、予定していた調査協力員の増員が適任者がおらず実行できなかったために、今年度も旅費と人件費・謝礼で差額が生じ、それらが理由となって次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
予定通りにデータを収集・蓄積していくために、次年度でも引き続き調査協力員を追加することを検討している。生じた次年度使用額は、その調査協力員への旅費や人件費・謝金に充てる。
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