2012 Fiscal Year Research-status Report
不安の看護の構造化と「不安の看護教育プログラム」の開発
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24792595
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
嵐 弘美 東京女子医科大学, 看護学部, 講師 (50439832)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 精神看護 / 不安 / 教育プログラム |
Research Abstract |
本研究では、多様に実践されている不安の看護に焦点をあて、不安の専門的な観点から構造化し、構造化した主要な内容ごとに、実践上有用な看護ケア・プロトコールを作成し、看護師に対する「不安の看護教育プログラム」を開発し、評価することを目的として研究を実施している。平成24年度は、以下のように研究計画を実行し、成果を得た。 1.文献検討を通して、不安の看護の技術と要素を抽出し、その構造を明らかにした。日本において実施されている不安の看護を明らかにするために、医学中央雑誌(全年)において、タイトルに「不安」・「看護」のキーワードが含まれている原著論文659件のうち、看護技術への不安や看護学生の不安に焦点をあてた文献を除き、患者への不安に対する看護について述べた269件の文献を分析対象とした。これらの文献のうち、一般身体科で行われた研究は221件、精神科で行われた研究は43件、その他5件であり、不安を抱える患者の疾患は、身体疾患は199件、精神疾患は39件、その他が24件であった。 1人の対象患者について述べている文献は189件あり、男性(86件)より女性(127件)が多く、対象者の疾患は、腫瘍に関連する疾患が185件と最も多く、次いで統合失調症(20件)と続いていた。不安の看護については、「理解を深める」・「関心を寄せる」・「傾聴」・「不安の原因への調整」・「認知行動的関わり」・「母性的かかわり」・「看護プログラムの実施」などの要素が抽出された。これらの分析から、看護職者へのヒヤリング調査を行うための、半構成的インタビューガイドのフレームワークを作成した。 2.この半構成的インタビューガイドに基づき、1.の分析において一般身体科での不安を扱った文献が多かったことから、まずリエゾン精神看護専門看護師4名を対象とし、ケアのプロセスに焦点をあてたヒヤリング調査を実施し、分析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度の当初の研究計画は、大きくは下記の2点であった。 1.日本の文献検討を通して、不安の看護の技術と要素を抽出し、その構造を明らかにする。これらの分析から、看護職者へのヒヤリング調査を行うための、半構成的インタビューガイドのフレームワークを作成する。 2.この半構成的インタビューガイドに基づき、日本において不安の看護の先駆的な実践を行っている看護師15名程度へ、不安の査定・介入・評価の一連のケア・プロセスに焦点をあてたヒヤリング調査を実施し、内容を質的記述的に分析する。 しかし、1.の目的達成後、国内の先駆的な活動を行っている専門看護師にインタビュー調査を依頼したところ、年度末が近いため次年度に設定してほしいという声が多く、年度内に実施可能な専門看護師4名にインタビュー調査を実施し、次年度に残りの10名程度へのインタビューを予定することとなった。 目的1.は達成しており、目的2.のインタビュー調査も、まずは4名実施し、残りの10名へのインタビュー調査の準備は整っていることから計画は、おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度の研究推進過程において、国内の先駆的な実践が絞られており、今後行う10名へのインタビュー調査の下準備は整っているため、インタビュー調査を実施する。 教育プログラムの実施については、大学病院へ、平成25年度の教育プログラムの看護師への実施について承諾を得た。 また、プロトコールの内容や、教育プログラムの開発、実施、評価の段階では、精神看護学の修士課程修了生や精神看護専門看護師等の専門家らのグループに適宜協力を要請し、事態の改善について示唆を得る。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
「次年度使用額」は、今年度に予定していたインタビュー調査(15名予定中4名実施済み)の10名実施費用および、その研究成果の発表のための費用である。 10名へのインタビュー実施にあたり、インタビュー調査旅費(3万円程度)・研究参加者への謝金(3千円×10人)・ヒヤリングのテープ起こし(1万円程度×15人)を使用する。 また、研究の成果発表旅費(4万円×1回)を使用する予定である。
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