2012 Fiscal Year Research-status Report
認知症高齢者の周辺症状に対する漸進的筋弛緩法の効果
Project/Area Number |
24792598
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Sugiyama Jogakuen University |
Principal Investigator |
池俣 志帆 椙山女学園大学, 看護学部, 助手 (00527765)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 漸進的筋弛緩法 / 認知症高齢者 / 周辺症状 |
Research Abstract |
本研究の目的は、周辺症状を有する認知症高齢者へリラクセーション法の1つである漸進的筋弛緩法を実施し、生理的・心理的な反応からその効果について評価を行うことである。 今年度は、予備的研究としてグループホームに入所する認知症高齢者5名に対して、漸進的筋弛緩法を1日1回15分程度、週2回以上、1ヶ月間継続して実施した。結果として、血圧や脈拍の減少、周辺症状の改善や日常生活動作能力の低下を防止できる可能性が示唆された。また、本調査ではグループホームに入所する認知症高齢者46名より研究協力が得られた。内9名は内服変更や、転倒に伴う骨折、漸進的筋弛緩法の継続が困難等の理由のため除外し、最終的な分析対象者は37名(介入群18名、非介入群19名)であった。介入群には、漸進的筋弛緩法を3ヶ月間実施した。評価項目として、血圧・脈拍・呼吸数、唾液アミラーゼ値、Mini Mental State Examination(MMSE)、Neuropsychiatric Inventory-Nursing Home Version(NPI-NH)、NMスケール、N-ADL、高齢者のうつスケール短縮版(GDS-15)、唾液中分泌型免疫グロブリンA(S-IgA)を用いた。 現在、分析途中であるが、これまでの結果では、血圧、脈拍、呼吸数が実施前よりも実施後に減少する傾向が見られた。また、唾液アミラーゼ値は、実施後の増加が見られた。周辺症状は、介入群では減少する傾向がみられたが、非介入群では変化はみられなかった。特に、介入群における興奮、うつ、不安、無関心、易刺激性は減少傾向がみられた。一方で、妄想、幻覚といった周辺症状では減少しておらず、漸進的筋弛緩法による効果がこれらの周辺症状には現れにくい可能性があることがわかった。S-IgAについては、値の個人差が大きく、両群での比較では明らかな差は見られなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までに、グループホームにおける認知症高齢者へのデータ収集は終了しており、分析途中である。研究の目的は、周辺症状を有する認知症高齢者へ漸進的筋弛緩法を実施し、生理的・心理的な反応からその効果について評価を行うことであるが、これまでに得られたデータを基に、漸進的筋弛緩法の効果を評価することができると考える。よって、おおむね計画通り進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
得られたデータを基に、統計的解析を行い、最終的な評価・考察を行っていく。また、介入群で漸進的筋弛緩法の有効性が確認されれば、非介入群においても希望に応じて漸進的筋弛緩法の介入を行っていく。 研究協力いたいだいたグループホームへ研究成果を報告する。加えて、分析結果をまとめ、認知症ケアや老年看護学分野に関連した学会にて、成果を公表していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
介入群・非介入群での漸進的筋弛緩法の実施のために必要と思われる手指消毒やウェットタオル等の衛生用品費(約100千円)。文献整理や論文作成のためのインク、印刷用紙等の物品や協力施設への研究成果報告のための封筒等の物品費(約100千円)。データ整理のためのUSB等の物品費(約100千円)。研究成果発表のための経費(約100千円)。文献複写、書籍等の費用(約200千円)。これらを次年度の研究費の使用計画とする。
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