2012 Fiscal Year Research-status Report
精神科における感染対策のアウトカム評価に関する研究
Project/Area Number |
24792604
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Hiroshima International University |
Principal Investigator |
糠信 憲明 広島国際大学, 看護学部, 講師 (20412348)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 感染制御 |
Research Abstract |
日本全国の精神科病院1269施設(精神科病院:1215施設,自治体立病院:40施設,国立病院機構:14施設)に質問紙を送付し、355施設より回答を得た(回収率27.9%)。調査では、各施設における院内感染対策チーム(Infection Control Team:ICT)の有無および具体的な取り組みの内容およびノロウイルスによるアウトブレイク発生の有無について質問した。 その結果、ICT活動を日常的に行っている施設は108施設(31.2%)であり、感染対策委員会のほかに特に組織していない施設は183施設(52.9%)であった。ICTが設置されていない理由として「業務上、時間に余裕がない」が最も多く有効回答の43.1%を占めた一方で、「精神科においては必要ない」との回答も10.9%あった。 2008年から2010年シーズンにかけてのノロウイルスによるアウトブレイクは毎年約20%(25.4%,21.1%,21.1%)、インフルエンザのアウトブレイクは約30%(28.2%,36.1%,35.8%)の施設で発生していた。これらのアウトブレイクの発生回数を重ねて集計した結果、3年間で“一度も発生していない”施設が約半数に当たる53.9%・45.2%であったのに対し、残りの約半数では1回以上の発生がみられており、毎年アウトブレイクが発生している施設も10%程度あることが明らかになった。また、発生回数と病院の規模では有意な相関がみられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
精神科病院での感染対策についての全国調査は現在までに行われておらず、実施した調査結果を各施設へフィードバックすることは施設における感染対策の方策を考える上でも有用であると考える。他方、感染対策のアウトカムとして通常用いられる感染症や薬剤耐性菌のサーベイランスが行われていない施設も多いことが分かり、感染対策に対して先駆的な取り組みをしている精神科病院に特段の協力を求めて研究を進めていく必要があると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
全国調査の結果を各施設にフィードバックし感染対策に関する具体的なデータの提供を得られる施設を探し協力を求める。また、他国の長期療養病院の取り組みや感染対策に関するデータを参考に分析方法について検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
米国で開催される感染対策疫学専門家の学会に参加し、最新の知見や研究への示唆を得るとともに、研究協力機関との双方向のコミュニケーションを通してデータの収集、分析を進める。
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