2014 Fiscal Year Annual Research Report
精神科における感染対策のアウトカム評価に関する研究
Project/Area Number |
24792604
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Research Institution | Hiroshima International University |
Principal Investigator |
糠信 憲明 広島国際大学, 看護学部, 准教授 (20412348)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 精神科 / 感染対策 / 医療関連感染 |
Outline of Annual Research Achievements |
精神科病院における感染対策の重要性は近年、高まりを見せているものの、その取り組みは一様ではなく、実際に行っている対策によってどれだけの成果が得られているかを評価することが重要である。その一方で、我々の調査の結果、一般科における感染対策の指標として用いられている人工呼吸器関連肺炎や血流感染、尿路感染のサーベイランスといった指標は精神科病院においては、分母となる対象自体少なく、その数値が持つ信頼性は高くない。また、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌や多剤耐性緑膿菌といった薬剤耐性菌の検出率についても同様であり、モニタリングをしていない施設が57.0%に上った。厚生労働省院内感染対策サーベイランス事業(JANIS)、日本環境感染学会が進める医療器具関連サーベイランスデータ(JHAIS)、職業感染制御研究会が進める血液・体液曝露サーベイランス(EPINet)といったベンチマークとなるシステムに全く加入していない施設も71.3%と、精神科での感染対策のアウトカム評価の難しさが示された。また、精神科病床の中でも精神科救急や精神科急性期といった病棟は入院期間が短く、マンパワーが比較的充足されているのに対し、精神科療養病棟や認知症疾患治療病棟といった介護職の割合が高い病棟では、入院患者の特性も問題となる感染症も異なる。グループインタビューでは、医療依存度の高い患者が発生した際に一般科病院に転院させることで対応している病院もあるが、感染症と精神疾患を同時に有する患者の受け入れに難渋することも多いとの意見があった。院内感染の発生そのものは入院や外泊といった持ち込み、入院患者の高齢化に伴う内因性感染の増加などにより完全に防ぐことは出来ない。しかしながら今後、実際の感染対策の成果を明らかにしていくことで多くの精神科病院での感染対策の底上げに繋がるものと考えられる。
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