2014 Fiscal Year Research-status Report
退院直後の精神疾患患者への精神科外来における再発予防支援の構築
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24792607
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
松島 亜希子 久留米大学, 医学部, 助教 (20586838)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 精神科外来看護 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は,精神科病棟に初めて入院したうつ病患者が,退院後の生活で抱く困難点を明らかにし,精神科外来における再発予防に向けた支援を検討することを目的とし,インタビュー調査を実施した.精神障害者への地域移行支援を行っていく上では,精神科外来が果たす役割は重要であり,より詳細な患者のニーズを把握する必要がある.今回,初回入院の患者を対象としたのは,イメージしていた退院後の生活と現実とのギャップに戸惑い,自身の生活を立て直すことが困難であり,症状が不安定になることも少なくはないと考えたからである.また,精神疾患の中でもうつ病は,生涯有病率が6.2%と,他の精神疾患の有病率と比較して高く,気分障害の入院患者数は増加し続けていること,さらにうつ病は再発を繰り返しやすく,病相を繰り返すたびに慢性化すると言われており,再発予防のための支援が重要であると考えた. 対象者は精神科急性期治療病棟に初回入院し,自宅退院したうつ病患者のうち同意が得られた7名である.インタビュー調査の主な質問項目は,基礎データ(対象者の年齢・性別・発症時期・入院期間・家族構成・家庭や社会での役割・社会資源の活用状況・外来受診の頻度),現在の生活での困難点,行っている対処法,今後の生活に向けて心配なこと,医療従事者への要望とし,自由に語ってもらった.本人の同意を得て,面接内容を書き取り,ICレコーダーでの録音を行い,インタビュー終了後は逐語録を作成した.対象者は退院後の生活に不安を抱えながらも,周囲の協力を得て生活している状況が明らかとなった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
近年の精神科外来患者数の増加や,精神科急性期治療病棟の設置に伴い,精神科外来の果たす役割は重要になっている.特に,退院直後の患者に対しては,再発予防のために生活への支援が必要になる.そこで,本研究では,急性期治療病棟を退院した患者が実際の生活の中で抱く困難点と,精神科外来で行われている援助の現状を明らかにし,再発予防に向けた支援を確立する事が目的である. 計画している具体的な研究項目は,①精神科急性期治療病棟を退院して間もない患者へのインタビュー調査②精神科外来に通院する患者を対象とした質問紙調査③入院施設を有する病院の精神科外来看護師を対象とした質問紙調査である. 今年度は,精神科病棟に初めて入院したうつ病患者が,退院後の生活で抱く困難点を明らかにし,精神科外来における再発予防に向けた支援を検討することを目的とし,インタビュー調査を実施した.しかし,インタビュー調査項目の検討や研究対象者の選定に時間を要してしまい,分析作業まで到達しなかったため遅れを取ってしまった.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は得られたインタビューデータをM-GTAを用いて質的帰納的に分析する予定である。分析焦点者と分析テーマに照らして,データを抽出し,概念を生成する.他のデータも継続的に比較分析する.生成した概念と概念との関係性からカテゴリーを生成する.カテゴリー相互の関係から,ストーリーラインを作成し,さらに結果図を作成する. さらに,得られた知見を基に,全国の精神科急性期治療病棟を有する病院もしくは精神科救急入院科病棟を有する病院よりランダムにサンプリングした病院の精神科外来に通院する患者を対象にアンケート調査を実施し,入院経験のある精神科外来患者が,外来看護に求める援助内容を明らかにする.質問項目はインタビュー調査の結果を基に作成する.研究者が,病院管理者に研究依頼の文書を出し,承諾が得られた病院に質問紙を郵送する.質問紙は外来看護師より患者に配布してもらう.回収は各自で研究者宛てに郵送してもらう.分析はSPSS統計ソフトを用い,入院経験の有無,疾患別や入院回数による違いを比較し分析する. それらの結果を基に,全国の精神科急性期治療病棟を有する病院もしくは精神科救急入院科病棟を有する病院よりランダムにサンプリングした病院の精神科外来看護師を対象にアンケート調査を実施し,精神科外来で行なわれている援助の現状を明らかにし,今後の課題を抽出する.
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Causes of Carryover |
平成25年度は産前産後の休暇と育児休業の取得に伴い,研究を中断した. 平成26年度は,精神科病棟に初めて入院したうつ病患者が,退院後の生活で抱く困難点を明らかにし,精神科外来における再発予防に向けた支援を検討することを目的とし,インタビュー調査を実施した.しかし,インタビュー項目の検討や研究対象者の選定に時間を要してしまい,分析作業まで到達しなかった.そのため,アンケート調査の準備にかかる経費(アンケート用紙、印刷費、封筒代)の支出が遅れているため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度は,知見を得るため,日本精神保健看護学会編集委員会・教育活動委員会合同企画ワークショップ「今、改めて研究倫理とは?」と日本精神保健看護学会第25回学術集会に参加予定である. また,アンケート調査を行うにあたって,郵送に要するアンケート用紙及び切手・封筒代,研究補助(アンケート調査準備,データ入力)のための謝金として使用予定である.
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