2013 Fiscal Year Annual Research Report
先史遺跡の高精度編年と古環境推定のための黒曜石水和層法の開発
Project/Area Number |
24800002
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
中沢 祐一 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 博士研究員 (70637420)
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Project Period (FY) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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Keywords | 年代測定 / 黒曜石 |
Research Abstract |
前年度で得た遺跡出土黒曜石の水和層観察と計測を行った。オリガー氏の指導に基づき、新たにサンプルを作成し、水和層の観察と計測に成功した。今年度は、完新世前期に相当する縄文時代の遺跡である北海道厚真町ヲチャラセナイ遺跡の剥片集中から抽出した黒曜石剥片を主たるサンプルとした。これらについてプレパラートを作成し、偏光顕微鏡を利用して観察を行った(200-500倍)。まず観察によって水和層の有無を確認し、水和層が確認された場合には、剥片の背面と腹面側でそれぞれ3ヵ所ずつ計測を実施した。計測値の平均とばらつきをサンプル内とサンプル間で比較し、サンプル内部の変異が少ないことが確かめられた。これによって、当該サンプルの計測値を年代測定に用いることの妥当性を確認した。計測した水和層厚とこれらのサンプルが得られたヲチャラセナイ遺跡の放射性炭素年代をフリードマンらの公式(Friedman and Smith 1960)に代入し、水和速度を計算した。その水和速度は、該当遺跡の黒曜石石器に多く利用されている北海道置戸産の黒曜石が8-9℃の環境に置かれたときの水和速度と近似していることから、導かれた水和速度は妥当であると考えられた。またSIMS(二次イオン質量分析法)によってサンプルの一部について水和層厚を計測した。SIMSによって表面から内部方向にかけての水素イオンの濃度分布が高い解像度で明らかとなり、顕微鏡下で計測した水和層厚と対応することが確認でき、プレパラート法と相互補完的な計測法となることを確かめた。一方、古環境の推定に関しては、水和速度の決定に関わる変数(温度、黒曜石の含水量、元素組成、遺跡形成過程)を考慮する必要があり、水和層形成に関わるデータを多地域より収集する必要があり、国内外の研究者と連携した今後の体系的な検討が課題となる。
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Current Status of Research Progress |
Reason
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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[Presentation] 炉跡周辺の廃棄行動2014
Author(s)
中沢祐一
Organizer
第17回石器文化研究交流会
Place of Presentation
神奈川県立歴史博物館(横浜市)
Year and Date
20140126-20140126
Invited
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[Presentation] An evaluation of site occupation intensity: hearth-centered spatial organization at the Upper Paleolithic open-air site of Kawanishi C, Hokkaido, Japan.2013
Author(s)
Nakazawa, Y., Iwase, A., Izuho, M., Yamahara, T., and M. Kitazawa
Organizer
78th Annual Meeting of the Society for American Archaeology
Place of Presentation
Hawaii Convention Center(USA)
Year and Date
20130406-20130406
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