2012 Fiscal Year Annual Research Report
センチメント分析に基づく聴覚障害者のための情報獲得支援技術の開発
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24800007
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Research Institution | Tsukuba University of Technology |
Principal Investigator |
張 建偉 筑波技術大学, 産業技術学部, 助教 (20635924)
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Project Period (FY) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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Keywords | 情報工学 / 情報システム / 感性情報学 / センチメント分析 / 聴覚障害者 / コミュニケーション支援 |
Research Abstract |
平成24年度は,聴覚障害者と健聴者がテキストから感じる印象の強さにどのような差異があるかをアンケートより調査し,聴覚障害者が受ける印象の強さの平均値と健聴者が受ける印象の強さの平均値に有意な差があるかを有意水準0.05で検定した.具体的には,20人の聴覚障害者と5人の健聴者を対象に,100件の新聞記事のそれぞれについて,感じる印象の強さを7段階で評価するというアンケート調査を行った.調査の結果より,両者間に同じ新聞記事からでも感じる印象の強さに差異が約50%の確率で発生することが示された.その際,異なる極性の印象を受けているか,同じ極性の印象でも聴覚障害者が感じる印象の強さが健聴者より弱い傾向が示された. また,「楽しい⇔悲しい」,「うれしい⇔怒り」,「のどか⇔緊迫」という3種類の印象を対象に,テキストを読んだ人々が感じる印象の強さを数値的に求めるための手法を提案した.印象の種類ごとに印象辞書を構築し,それぞれの印象値を算出するだけではなく,それぞれの印象が独立ではない点に着目し,各印象辞書を用いて算出されるテキストの印象値から,それぞれの印象値を算出し直すというアプローチを試みた.具体的には,単語unigramと単語bigramの2種類の特徴量を定義し,6つの印象辞書(3種類の印象×2種類の特徴量)を構築し,各印象辞書を用いて算出されるテキストの印象値を説明変数(6個),アンケート調査に基づいて数値化されるテキスト本来の印象値を目的変数とする重回帰分析を印象の種類ごとに行い,対応関係を重回帰式という形で定式化した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アンケートの設計,調査および結果の分析により,聴覚障害者と健聴者が感じる印象に差異があることを確認できた.また,印象辞書を構築し,機械的に算出される印象値から人間が感じる印象の強さへ変換する補正手法を開発した.当初の研究計画調書に書かれた平成24年度の2つの研究目的はすべて達成し,おおむね順調に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は,平成24年度の研究成果を踏まえて,聴覚障害者の閲覧習慣に適合した健聴者との印象差異を可視化する手法を開発する.また,研究成果をまとめる意味でプロトタイプを作成し,実用できるシステムの実現を図る.
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Research Products
(3 results)