2012 Fiscal Year Annual Research Report
機能性高分子による効率的なmRNAデリバリーシステムの創製
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24800016
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
内田 寛邦 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任研究員 (60637677)
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Project Period (FY) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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Keywords | ドラッグデリバリー / mRNA / 機能性高分子 |
Research Abstract |
本研究では、ポリアスパルタマイド側鎖構造とmessenger RNA(mRNA)の細胞導入機構の構造機能相関を調べることを目的とした。 24年度は4種の側鎖のアミノエチレンの繰り返し数のみが異なるポリアスパルタマイドの合成、それらとmRNAから作成した複合体(ポリプレックス)による培養細胞へのin vitro mRNA導入を行った。 poly(β-benzyl-L-aspartate) (PBLA)の側鎖にアミノリシス反応によって、ethylenediamine (EDA), diethylenetriamine (DET), triethylenetetramine (TET), tetraethylenepentamine (TEP) を導入した。このような合成法によって、同一主鎖、同一重合度でありながら、側鎖のアミノエチレン構造のの繰り返し構造のみが異なるポリアスパルタマイドを合成した。これらのポリアスパルタマイドとGaussian luciferase (GLuc)をコードしたmRNAからポリプレックスを作成した。それぞれのポリプレックスは同程度の粒径をしており、100 nm 以下のポリプレックスを確認できた。この粒径は細胞のエンドサイトーシスで取り込みが十分可能な粒径と考えられる。 ついで、これらのポリプレックスによる培養細胞への導入を行った。初期の12時間のmRNAの発現は2回と4回の発現が高かったが、それ以降は3回の発現が高いことが判明した。このような結果は、側鎖のアミノエチレン構造の繰り返し数が導入したmRNAの発現に時間依存的に影響していることが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画書の予定では、平成24年度中に4種のポリアスパルタマイドの合成とそのmRNAとの複合体の物性評価を行い、さらに24年度中盤から25年度中盤にかけて、それらによる細胞導入実験とその機構解析を行う予定であった。 現在までに、4種のポリアスパルタマイドの合成とmRNAとの複合体の物性評価を行い。4種のポリアスパルタマイドのいずれも100 nm以下のポリプレックスをmRNAと形成することを明らかとした。さらに、これらポリプレックスによる細胞導入も行なっており、初期の発現は2回と4回の繰り返し数のアミノエチレン構造を側鎖に有するポリアスパルタマイドから作成したポリプレックスが高い発現を示すが、投与後、24時間以降では3回のものの発現が高くなることが判明した。 以上のように、ポリアスパルタマイドの合成から複合体形成が完了しており、さらに細胞導入実験もすでに開始しており、当初の予定通りに研究は進行していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までに、ポリアスパルタマイドの合成からmRNAとの複合体形成が完了しており、さらに細胞導入実験においては、ポリアスパルタマイドの側鎖構造が時間依存的に影響することが判明した。25年度中盤までは、このin vitro mRNA導入機構をより詳しく評価し、化学構造の差異がどのように導入mRNAの発現に影響するかを調べる予定である。 具体的には、市販のキットを使用してmRNA導入時の細胞生存率で評価する。ついで、蛍光標識したmRNAから作成したポリプレックスを導入し、フローサイトメーターで細胞ごとの蛍光量を測定することで、細胞取り込み量を評価する。さらに、エンドソームからの脱出効率を定量評価するために、共焦点レーザー顕微鏡による観察を行う。蛍光修飾したmRNAから作成したポリプレックスを導入した細胞の酸性オルガネラ(エンドソーム・リソソーム)を市販の蛍光試薬のLysoTrckerで染色し、観察を行う。このとき、mRNAの蛍光とLysotrackerの蛍光が重なれば、ポリプレックスはエンドソームかリソソームに局在しており、mRNAの蛍光が単独で存在すれば、エンドソームから脱出していると判別できる。細胞内の脱出したmRNAの蛍光を定量し、ポリプレックスごとのエンドソームからの脱出効率を評価する。これらの実験でポリカチオン構造がどのようにmRNA導入を促進するかを明らかとする。 さらに、25年度中盤以降は、マウスを使ってのin vivo導入効率の評価を行う。局所投与モデルとしてマウス大腿部へと複合体を投与し、発現を確認する。また全身投与モデルとしては、マウス尾静脈からmRNA複合体を投与し、投与後に血液を回収する。さらに回収したmRNAを逆転写後にRT-PCRで残存量を評価することで、複合体の血中滞留性を比較する。
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Research Products
(1 results)