2012 Fiscal Year Annual Research Report
市民向けWebメディアの利活用へ向けたキュレーションに関する研究
Project/Area Number |
24800030
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
浦田 真由 名古屋大学, 国際開発研究科, 助教 (70634947)
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Project Period (FY) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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Keywords | Web / キュレーション / コミュニティ / 生涯学習 / 地域活動 |
Research Abstract |
本研究は,「キュレーション」を取り入れた新たなWeb設計を行い,市民向けコミュニティにおけるWebメディアの活用方法を検証している.平成24年度は,実践的フィールド(生涯学習・地域活動)への参加によってWeb利活用における課題を明らかにし,Webキュレーションを実践することで,これまでとは異なる新たなWeb設計およびシステム開発を実施した. 《現状調査:市民向けコミュニティにおけるWeb利活用》現在のWeb利用目的・頻度・問題点等を明らかにするため,実践的フィールド(生涯学習・地域活動)へ参加し,定期的なミーティングを実施し,市民向けコミュニティにおけるWeb利活用の目的を検討した. 《キュレーションI:Web利活用の目的や扱う情報の既存の意味を問い直す》科学館や地域活動との連携を深めることで,どんなWeb利活用が各々の活動に有益なのかを検討し,コミュニティの特性に適した最適な端末を選定し,そこでのWeb利活用の目的を明確にした. 《キュレーションII:情報やコンテンツを収集・管理し,選択・絞込み・結びつけを行う》利用者に適した情報の収集方法・管理方法を提案し,システムの設計を行っている.収集・管理する情報の「組織化」「構造化」を行い,必要な情報を選択し,利用者にとって有益なコンテンツ生成を行うことができるシステムをWordPress等のオープンソースCMS(Content Management System)の活用,およびHTML5やCSS3等を用いたカスタマイズによって構築ている. 《キュレーションIII: 新しい意味,文脈,価値を生み出す》上記システムによって生成されたコンテンツを,利用目的に適した端末に提供することで,Web利活用における意味付けを行い,新たな価値を生成した.特に,モバイル端末向けアプリの開発も行い,Webとの連携による有効性を検証している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度は,研究目標の一つである「実フィールドを対象としたWebキュレーションの実践」を実施してきた.生涯学習や地域活動といった実フィールドにおいて,それらのコミュニティのニーズに適したWebキュレーションを実践し,その具体的な手法や課題,各々のコミュニティにおける違いを検証している.具体的には,名古屋市東区・瑞穂区の地域コミュニティ,名古屋市科学館との連携により,下記のWebメディア利活用を進め,当初の研究目標はおおむね順調に進展している. 《地域サイト「ひがしネット」》名古屋市東区で地域活動を実践するコミュニティとの連携により,発信情報を増強してきた.サイト上では,文化・安心安全・子育て情報に関するキュレーションを実践している.また,「歩こう!文化のみち」地域イベントの公式サイトを設計&開発した.また,文化情報をゲーム感覚で楽しみながら閲覧し,「フォトラリー」として,写真撮影や記録を可能とするスマートフォン向けアプリの開発&実証実験を実施した. 《町内会&自治会運営におけるWebメディア》第一段階として,名古屋市瑞穂区の町内会&自治会役員業務における情報リテラシーの向上を目指す講習会を実践し,情報リテラシーを高めた役員がWebを用いて活動情報を発信できるよう,支援している. 《モバイルガイドシステム》名古屋市科学館天文館の展示室モバイルガイドシステムを開発した.「学芸員の見どころビデオ」「展示作品の狙い」「知識プラスワン」といった解説をタブレット端末のWebアプリで閲覧しながら,展示物の理解を深めることができる. 《天文観測活動におけるWebシステム》名古屋市科学館天文学芸員による夜空の明るさ観測活動を支援するWebシステムを開発した.Webを用いることで,少人数でも多くの身近な地点の観測結果を同時刻内に取得でき,来館者へ向けた観測結果の公開を実現した.
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は,出産・育児休業を取得する予定のため,科研費は留保とする.したがって,平成24年度の成果を各々のフィールドで継続しつつ,平成26年度に,下記の通り,Webキュレーションを取り入れたWebの社会的な効果や具体的手法を明確にしていく.生涯学習および地域活動の中で長期的な実運用を行なうことにより,各プロセスの汎用性を高めることを目指し,目に見えないサービスとして提供される価値に対する評価方法についても確立していく予定である. 《キュレーションIV:社会でのWebメディアの活用方法を考える》 生涯学習・地域活動等の実社会に適したWebメディアの活用方法を模索するため,ワークショップやイベント等へ積極的に参加し,そのコミュニティの中でWebキュレーションを実践していく.また,本システムの利用に限らず,ソーシャルメディアを用いた手軽な情報発信も複合的に取り入れ,それらをどのように各々のコミュニティで利活用していくのかという視点でWebキュレーションを実施する. 《実証実験と評価:Webにおけるキュレーション効果の測定方法を確立する》 社会におけるWeb利活用に対して,明確な評価方法は存在していない.「何をもって成功とするのか」という問いに対し,現状として,客観的な評価を得るのは難しく,アンケートや質的なインタビュー調査の実施に留まっている.本研究では,統計学や教育学,心理学等,他分野での評価方法を調査・研究し,それらを参考にした有効な評価方法を取り入れ,実践していくことで,キュレーションの効果検証に適した方法を探っていく.コミュニティに対する効果,利用者に対する効果,社会に対する効果等あらゆる側面から評価していく.これらの複合的な評価を踏まえ,Webキュレーションの価値や重要性,今後の課題を明らかにしていく.
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Research Products
(6 results)