2012 Fiscal Year Annual Research Report
生体分子ネットワークのシステム的理解に基づく抗がん剤投薬スケジューリング法の開発
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24800050
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
前田 和勲 九州工業大学, 大学院情報工学研究院, 研究員 (50631230)
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Project Period (FY) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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Keywords | 概日リズム / 細胞周期 / ダイナミックモデル / シミュレーション / 国際情報交換 |
Research Abstract |
昨年、概日リズムと細胞周期の統合モデルがGerardらによって提案された (Gerard et al., PNAS, 2012)。このモデルでは、概日リズムと細胞周期のネットワークはWee1、p21、c-Mycを通して接続されているが、アポトーシスやDNA修復のネットワークを介した接続は含まれていない。我々は、GerardらのモデルをベースにしてアポトーシスやDNA修復を含めた大規模な概日リズム-細胞周期ネットワークを構築中である。 我々は、効率的なパラメータ探索法Two-phase search (TPS)法を開発していたが、これには大規模なモデルを扱うことが難しいという問題があった。TPS法とフラックスモジュール分解という新しいモデル分割法を組み合わせることで、Flux module decomposition-based TPSを開発した (Maeda et al., Bioproc Biosyst Eng, 2013)。これにより大規模な生体分子ネットワークの効率的なパラメータ探索が可能になった。これは概日リズム-細胞周期統合モデルの作成を助ける成果である。 我々はこれまでに、時計タンパク質の多数のリン酸化反応が概日リズムの周期を一定に維持する上で重要であることを示している。今回、さらに、多数のリン酸化が時計タンパク質の明瞭な概日振動をもたらすという解析結果を得た。アムステルダム自由大学のグループとの共同研究によって実験データ再現性の高いダイナミックモデルの構築方法を習得した。その過程で得られた成果を国際学会FOSBE2012で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成24年度は、概日リズムと細胞周期を統合した数学モデルの構築を目標としていたが、このモデルがGerardらによって先に提案されてしまった (Gerard et al.,PNAS, 2012)。しかし、このモデルにはアポトーシスやDNA修復が含まれていない。現在、GerardらのモデルをベースにしてアポトーシスやDNA修復を含めた大規模な概日リズム-細胞周期ネットワークを構築中である。様々な文献からネットワークの全体像を掴み、どこまでモデルに含めるか検討するのに予想以上に時間がかかっている。
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Strategy for Future Research Activity |
概日リズム-細胞周期ダイナミックモデルの構築に時間がかかっているが、この遅れは新規の動力学パラメータ最適化手法FMD-TPSを使うことで取り戻せると考えている。また、最近提案された新規の感度計算法(Gonnet et al., BMC Syst Biol, 2012)や新しいスーパーコンピュータも遅れを取り戻す一助となる。
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Research Products
(4 results)