2012 Fiscal Year Annual Research Report
子どもを対象にした運動中における下腿三頭筋筋腱複合体の動態の定量
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24800065
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
岩沼 聡一朗 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 助手 (70634369)
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Project Period (FY) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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Keywords | 筋腱複合体 / 発育発達 / ヒト生体 / 足部 / 筋腱動態 |
Research Abstract |
平成24年度(第1年度)は、 以下の3つの実験に取り組んだ。 実験・1では、異なる年齢層の子ども(小学生、中学生)および成人を対象に、足部内部の骨の長さの比率や、足首を曲げ伸ばしした時の筋腱複合体長変化や足部の変形を、磁気共鳴撮像法を用いて計測した。その結果、子どもでは足首を曲げた際に筋腱複合体長が伸ばされる程度は成人よりも小さく、それは体格差の影響を考慮してもなお同様の結果であった。子どもの足部のほうが成人よりも変形しやすく、これが足首の曲げ伸ばしの程度と筋腱複合体長変化の関係における子どもと成人の差の原因と考えられた。 実験・2では、これまでに申請者が取り貯めてきた成人の筋腱複合体長変化に関するデータと、実験・1で取得する子どものデータを合わせ、筋腱複合体長変化を決定する因子について回帰分析等の統計手法を用いて検討した。この結果を基に筋腱複合体長変化の推定式を作成した。現在、皮膚上から計測できる形状およびマーカの挙動に基づいて、推定式の妥当性検証に取り組んでいる。 実験・3では、動作分析に関する測定方法の習得と再現性の確認を行なった。平成24年度は動作分析システムを購入し、研究補助者の専門的技術を習得に取り組んだ。この結果、平成25年度に計画どおり運動中における下腿三頭筋腱の動態の定量に取り組める見込みが立った。 これらの研究成果は、25年度(第2年度)に国際学会(18th Annual Congress of the European College of Sport Science)で発表する予定であるが、査読を経て、すでに発表が採択されている。また、国際学術誌へ論文を投稿するべく準備を進め、現在、共同研究者と推敲している段階にある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度(第1年度)は、当初計画していた3つの実験に取り組み、滞りなく順調に遂行することができた。実験・1および実験・2により、足首の曲げ伸ばし時の下腿三頭筋の筋腱複合体長変化を推定する式を作成することができた。また、実験・3において、動作分析に関する測定方法の習得と再現性の確認を行ない、研究代表者ならびに補助者が専門的技術を習得することができた。これらの成果により、当初の計画どおり平成25年度(第2年度)で、運動中における下腿三頭筋腱の動態の定量(実験・4)に取り組む見込みが立った。 平成24年度の研究成果の一部は、査読を経て、国際学会(18th Annual Congress of the European College of Sport Science)で発表することがすでに採択されている。また、論文(国際学術誌)執筆に関しては、現在、共同研究者と推敲している段階にあり、平成25年度中の掲載決定を目指している。 以上より、平成24年度(第1年度)の達成度は順調であったと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度(第2年度・最終年度)は、成人および子どもを対象に、「運動中における足部および下腿三頭筋腱の動態の定量(実験・4)」を実施する計画である。この実験では、昨年度の研究によって作成された下腿三頭筋筋腱複合体長変化の推定式を用いる。この推定式を用いるためには、運動中の動作分析を行い、関節角度変化を定量する必要がある。動作分析システムは平成24年度(第1年度)に購入し、「ダイナミックな運動中における動作分析について十分な練習と再現性の確認(実験・3)」を行ってきた。この取り組みにより、研究代表者ならびに補助者は専門的技術を習得することができた。本年度の実験・4では、熟練した研究補助者に協力を得てデータ取得を行う。また、下腿三頭筋腱の動態は、所属機関にすでに設置されているBモード超音波装置を用いてデータを取得し、専門の分析ソフトウェアを用いてパーソナルコンピュータ上で分析を行う。研究代表者は、このデータ取得ならびに分析の方法を熟知しており順調に遂行できると考えられる。唯一の懸念事項として、データ分析が手動のために多くの時間がとられ、成果発表に支障をきたす可能性がある。しかし、最近では分析自動化の方法論が発表されており、国内外の研究者から情報を収集することで、データ分析の自動化にも取り組み、この懸念を払しょくできるよう努める。
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Research Products
(1 results)