2012 Fiscal Year Annual Research Report
変動感による認知性と受容性を考慮した電気自動車用接近音の設計
Project/Area Number |
24800080
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Research Institution | Matsue National College of Technology |
Principal Investigator |
安井 希子 松江工業高等専門学校, 情報工学科, 助教 (80607896)
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Project Period (FY) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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Keywords | 電気自動車 / 接近音 / 変動感 / 認知性 / 受容性 |
Research Abstract |
本研究では,高次変動から成る変動音を用いて,認知性と受容性を考慮した,電気自動車のための接近音を提 案する.本年度は,様々な排気音を録音して実環境における変動音の特徴を分析し,過去に設計されたサイン音について調査した. 録音では,アイドリング時におけるガソリン車の排気音を録音した.収録対象のガソリン車は,トヨタ社のパッソ,ホンダ社のフィット,マツダ社のデミオの計3台である. 特徴分析では,まず,各排気音の変動周波数を抽出した.具体的には,排気音から切り出した5秒間の音のパワー関数を抽出し,移動平均を行なった波形に対して高速フーリエ変換を行ない,パワー関数の基本周波数を抽出した.その結果,パッソが28.6 Hz,フィットが27.0 Hz,デミオが19.6 Hzであり,車種によって多少の差はあるが,約26 Hzであることが確認された. 次に,各排気音の発音時刻を推定し,発音時刻における時間逸脱および振幅逸脱を抽出した.まず,抽出した基本周波数の逆数,すなわち変動の周期を算出する.算出した周期ごとに排気音のパワー関数における値が最大となる時刻を求め,それを発音時刻とする.次に,その発音時刻と逸脱がない状態における発音時刻のずれを算出し,それを時間逸脱量とする.また,発音時刻の振幅と排気音の最大振幅のずれを算出し,それを振幅逸脱量とする.各排気音の各逸脱を抽出した結果,全ての排気音に時間および振幅逸脱が含まれているが,車種によって各逸脱量の変化パタンは異なることが確認された.よって,そのパタンが認知性や受容性に与える影響を調査することで,適切な接近音を提案できると考えられる. サーベイを行なった結果,過去に提案された接近音では変動に着目しているが,一定の速度における変動を対象としており,本研究で対象とする不均一な変動,言い換えると,高次変動には着目していないことが確認された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では,高次変動から成る変動音を用いて,認知性と受容性を考慮した,電気自動車のための接近音を提案する.計画では,初年度に,接近音の合成を行ない,認知性に関する評価実験を実施する予定であったが,排気音の特徴の分析,サーベイおよび接近音のデザインまでしか行えていないため,やや遅れていると考えられる.ただし,サーベイや接近音のデザイン結果に基づいて,様々な接近音の試作をしているため,次年度で評価実験を行なうことで,認知性および受容性を考慮した接近音の検討を行なうことができると考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
初年度では,接近音の合成で用いる,排気音の特徴を分析し,サーベイを行なった.また,それらの結果に基づいて様々な接近音の試作を行なった.今後は,試作した接近音に対する評価実験を行ない,聴取した際に不快に感じられない音を選出する.次に,選出した接近音に対して様々な高次変動を付与し,合成した接近音の認知性に関する評価実験を行なう.その結果に基づいて,接近音の受容性に関する評価実験も行なう.
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