2012 Fiscal Year Annual Research Report
階層ベイズモデルに基づく臨床研究・疫学研究の生物統計手法の開発
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24800081
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Research Institution | The Institute of Statistical Mathematics |
Principal Investigator |
野間 久史 統計数理研究所, 大学共同利用機関等の部局等, 助教 (70633486)
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Project Period (FY) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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Keywords | 階層ベイズモデル / 個別化医療 / マイクロアレイ / 多重検定 / ケースコホート研究 / 欠測データ / Multiple Imputation / 疫学 |
Research Abstract |
本研究は,臨床研究・疫学研究における,近年の重要な統計的課題に対して,階層ベイズモデルを用いた生物統計手法の開発を行うことを目的としている.本年度は,(1) 個別化医療・予測医療の実現のためのゲノム情報解析における統計的手法,(2) 疫学研究の2段階デザインの統計解析手法,(3) 不完全データの解析方法についての研究を重点的に行った.それぞれの課題において,得られた成果を国内・国際学術誌や学会等で発表した. (1) においては,多重検定による効率的な遺伝子選択のために,柔軟なセミパラメトリックモデルを利用した経験ベイズ法によるOptimal Discovery Procedure(平均検出力を最大化する多重検定方式)を開発した.また,同様に,効率的な遺伝子選択のために柔軟な階層モデルのもとでの最適なベイズ流のランキングの手法を開発した. (2), (3) においては,効率的な2段階サンプリングデザインとして,近年,実践においても重要な位置を占めている2段階ケースコントロール研究やネステッドケースコントロール研究,ケースコホート研究の統計解析において,2段階のサンプリングの情報を有効に活用したMultiple Imputation法による解析手法を開発した.また,ケースコホート研究においては,2値アウトカムの設定のもとでの2段階ケースコントロール研究との等価性を示し,それに基づく有効な解析手法を与えた.さらに,それらの基礎理論として,モデル選択や解析アルゴリズムについての新しい方法論の研究を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は,医療統計学領域のトップジャーナルであるStatistics in Medicine誌への論文掲載をはじめとして,3報の学術論文の出版に成功した.一方で,現在,国際一流誌の査読を進行中の論文や,投稿間近の論文の執筆も複数進行しており,当初の計画以上に研究は進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
2年目の研究計画と若干前後してしまった課題もあるが,確実な成果が期待されるものばかりであり,別段,大きな修正は必要ないと思われる.今後は,Comparative Effectiveness Researchやメタアナリシス,欠測データの解析,疫学研究の方法論の課題に重点を移しつつ,国際一流誌へ確実に成果を発表することができるよう,当初の計画に沿って,研究を進める予定である.
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