2012 Fiscal Year Annual Research Report
マウスモデルを用いた発がんおよびがんの浸潤・転移における免疫系の役割の解析
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24800093
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Research Institution | 愛知県がんセンター(研究所) |
Principal Investigator |
梶野 リエ 愛知県がんセンター(研究所), 分子病態学部, 研究員 (20633184)
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Project Period (FY) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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Keywords | 癌 / 免疫学 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
がんの発生・進展過程における免疫系の役割を解明するため、2つの研究目的に取り組んだ。 「研究目的1:JNK-mTORC1経路による腫瘍形成における自然免疫の関与」ApcΔ716変異マウスの腸に形成される腫瘍では、腸上皮細胞においてJNK-mTORC1経路が活性化している。この活性化に自然免疫が関与するか調べるため、腸上皮特異的にCreを発現するVillin-CreマウスとMyD88 floxマウスを用いて、MyD88flox/flox ApcΔ716 Villin-Cre変異マウスを作出している。また、ApcΔ716変異マウスの腫瘍から、分子メカニズム解明における重要なツールとなる初代培養細胞を得られるようになった。さらに、マイクロアレイ解析による関連因子の探索も進めている。作出された複合変異マウスや初代培養細胞を用いることで、分子レベル、個体レベルでの解析が可能となる。 「研究目的2:cis-APCΔ716/Smad4変異マウスを用いたがんの浸潤・転移における免疫系の役割の解析」局所浸潤能を持った腺がんを発症するcis-APCΔ716/Smad4変異マウスを用いて、免疫系が浸潤過程に影響するか検討する。腸には免疫細胞が多く存在しており、腸内細菌叢の状態が免疫機能に影響を及ぼすことが明らかになってきている。そこで、cis-ApcΔ716/Smad4変異マウスに抗生剤を投与して腸内細菌を除去し、浸潤過程に変化がみられるか調べるため、抗生剤投与の条件検討を行い、準備が整いつつある。本実験において浸潤過程に変化がみられた場合には、浸潤部位で細胞数などが大きく変化している細胞の種類、組織を免疫組織染色により同定する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
複合変異マウスの作出に時間がかかっているため。
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Strategy for Future Research Activity |
概ね当初の計画に従って、研究を遂行する。研究目的1については、複合変異マウスの作出に時間がかかっているため、マイクロアレイ解析による腫瘍形成・進展に関連する候補因子の探索にも力を入れて進めていく。研究目的2については、DSS投与により誘導した腸炎が浸潤過程に及ぼす影響も検討する予定であるが、抗生剤投与による検討を優先して行う。
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