2012 Fiscal Year Annual Research Report
自己解重合部位を有するブロック共重合体を用いたナノ構造創出
Project/Area Number |
24810027
|
Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
石田 良仁 神奈川大学, 工学部, 助手 (90635137)
|
Project Period (FY) |
2012-08-31 – 2014-03-31
|
Keywords | ブロック共重合体 / 自己組織化 / 自己分解反応 / 光反応 / ナノ構造作製 |
Research Abstract |
本研究では、光によって自発的に解重合反応が進行する部位をブロック共重合体に導入することで、自己組織化により得られる周期数十ナノメートルのミクロ相分離構造から一方のセグメントを選択的に除去し、明確なナノ構造を構築することを目的として研究を行っている。 24年度の研究においては、目的とするブロック共重合体の合成手法の確立を主として研究を行った。AB型モノマーであるフェニル(4-ヒドロキシメチルフェニル)カルバメートの重縮合反応中に光反応基およびATRP重合開始基を有する末端修飾剤を添加することにより、両末端にそれぞれの官能基を有するポリウレタン(分子量4200)を合成した。さらに、末端のATRP開始基からメチルメタクリレートのリビングラジカル重合を行うことで当初の目的通り、明確な構造からなるブロック共重合体(分子量12300、分子量分布1.82)を得ることを成功した。また、予備実験として得られたポリマー溶液に対してUV照射を行ったところ、365nmの照射では24時間でポリウレタン成分のみが分解した一方で、200~400nmの範囲のUV光を照射すると、急激にPMMAを含めたポリマー全体の分解が起こることが分かった。短波長のUV照射においてはウレタン結合の光フリース転位が光分解を促進していると考えられ、当初の予想とは異なる非常に興味深い結果を得ることができた。 このように本研究により得られた結果は、これまでにない新たな発想によりブロック共重合体から1成分のみを選択的に除去できることを示した。これにより近年注目を集めているブロック共重合体を用いた微細加工において、新規材料の開発とそれに伴う微細加工技術の発展が期待される。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していたブロック共重合体の合成に成功し、ポリマーの分解挙動に関する予備的な知見を得ることに成功しており、おおむね順調に進展している。その一方で全てのポリマーの末端に目的とする光反応性基や重合開始基を導入するには至っておらず、より明確な構造からなるポリマーを得ることが今後の課題として挙げられる。また、得られたポリマーの光分解挙動について、溶液中のみでなくバルク中での知見を得ることも今後の検討課題である。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまで得られたポリマーはその中にポリマー中のAB末端が分子内で反応した環状ポリマーが含まれることが分かっている。そこで、両末端に所望の官能基が導入されたより明確な構造からなるポリマーを合成する手法として、モノマーのSlow Addition法を行う。これは、活性の高い開始剤に対してモノマーを少量ずつ添加していく手法であり、開始期の導入が確実に行えるだけでなく、分子内反応を抑制して環状ポリマーの生成を抑えることができる。 また、光分解反応をより迅速に進めるために、量子効率が良く、他の物質の吸収と重ならない365nmに吸収を有する光反応性基の導入を行う。また、ブロック共重合体のバルクサンプル中への光照射とそれに基づく化学構造や自己組織化構造の変化をIR,GPC,SEM,AFMにより明らかにし、露光量や照射条件等の最適化を行う。
|