2012 Fiscal Year Annual Research Report
ジェンダーに配慮した避難所運営マニュアル策定プロセスに関する研究
Project/Area Number |
24810035
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Research Institution | Hyogo Earthquake Memorial 21st Century Research Institute |
Principal Investigator |
斉藤 容子 公益財団法人ひょうご震災記念21世紀研究機構, 人と防災未来センター, 主任研究員 (10636327)
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Project Period (FY) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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Keywords | 避難所 / ジェンダー / 東日本大震災 / スフィアスタンダード |
Research Abstract |
本研究は災害時の避難所設営・運営のための避難所運営マニュアルの策定のあり方を検討することを目的としている。本年度は宮城県南三陸町を事例とし東日本大震災時の避難所運営の在り方を検証した。その検証方法として避難所運営にかかわった行政職員ならびにリーダーら15か所のヒアリングを実施した。結果を分析したところ避難所ではマニュアルといったものは一切存在せず、備蓄なども地域の防災組織を通して準備中ではあったが男女の視点についてといったことはまったく考えられていなかった。これは南三陸町の地域防災計画においても同様であった。また震災時の避難所にそのようなことは考えられておらず、結果的にあ多くの女性に女性の固定的役割が与えられ、負担であったり、または避難所リーダーへの苦情といった形で表面化した事例もなかにはみられた。 また一方で本事例をさらに詳細検討するために、スフィアスタンダードを使用して、衛生、住居・食料外物資、食料といった観点からヒアリング結果を分析し、そのなかでジェンダーの視点がそれぞれの分野でどのように配慮されたかを考察した。結果として、衛生に関しては山間部においては特にトイレは水洗トイレではないところが多かったので比較的使用可能であったところもあった。食料においても確保については地域内の資源を活用したところが多くみられたが、先述の通り、時間がたつにつれて女性による炊き出しが避難所性の負担になり避難所リーダーらがその対応に迫られたところがあった。住居・食料外物資についは特に避難所でのスペースの問題は顕著であり、また整理用品など物資面での問題が浮き彫りとなった。 以上のように国際的指標に照らし合わせても東日本大震災ではジェンダーに配慮された対応がなされたとは言い難い。それらの教訓を今後地域防災計画や避難所設営・運営マニュアル策定の際に生かすためにつなげていくことが来年度の課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
東日本大震災後、内閣府男女共同参画局によって「男女共同参画の視点からの防災・復興の取組指針」がまとめられており、それらの内容を確認しつつ研究を進める必要があるため、現在調整中である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、作成された男女共同参画の視点からの防災・復興の取組指針と照らし合わせながら、ヒアリング内容を再度構成していく必要がある。
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