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2012 Fiscal Year Annual Research Report

19世紀パリ万博における日本―ナショナル・アイデンティティと文化イメージの形成―

Research Project

Project/Area Number 24820018
Research InstitutionHitotsubashi University

Principal Investigator

寺本 敬子  一橋大学, 大学院社会学研究科, 特任講師(ジュニアフェロー) (80636879)

Project Period (FY) 2012-08-31 – 2014-03-31
Keywordsフランス近代史 / パリ万国博覧会 / 日仏文化交流史
Research Abstract

本研究は、19世紀に開催された全5回のパリ万博の内、日本が参加した4回の万博(1867年、1878年、1889年、1900年)に焦点を当て、フランスと日本の相互作用を通じて、いかなる「日本」像が形成されたのか、その形成過程および変遷を明らかにすることを目的とする。平成24年度は、主に次の2点の研究を遂行した。
1.1867年と1878年のパリ万博に関する研究発表
これら前期二つのパリ万博に関する研究代表者のこれまでの調査・分析の結果をまとめ、その成果を日本とフランスの関連学会において発表を行った。具体的には次の三つの研究内容について発表した。第一に、1867年パリ万博を契機に発展した徳川昭武を中心とする日仏間の「個人交流」の解明を目的とした研究である。日仏間で交わされたフランス語書簡の調査を進め、その研究成果を発表した。第二に、1870年代にフランス社会で「日本」が「流行」に至った経緯を、1867年パリ万博の開催動機となったフランス政府の産業振興策から分析した研究を発表した。そして第三に、1878年パリ万博において日本事務局長として活躍した前田正名による「日本」の演出・広報活動に焦点を当てた研究を発表した。
2.1889年と1900年のパリ万博に関する資料調査
上記の研究活動と並行し、後期二つのパリ万博に関する文献および史料を日本とフランスで調査することに重点をおいた。フランスでは、特に国立文書館に所蔵されるパリ万博の史料を調査し、そのなかで日本の参加経緯および展示内容に関わる史料を収集し、分析を進めた。今後も継続的に万博史料の調査を進め、とりわけ1880年代から顕著となるフランス植民地主義の拡大と日本の近代化に焦点を当てて、19世紀から20世紀に向けた万博の形態および意義の変化について考察を広げていきたい。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本研究課題の目的の達成度については、おおむね順調に進展していると思われる。その理由については、平成24年度の研究実績から、次の2点にまとめることができる。
1.1867年と1878年のパリ万博に関する研究発表
当初の研究計画に沿って、前期二つのパリ万博に関するこれまでの研究代表者の調査・分析をまとめ、その成果を日本とフランスの関連学会等において研究発表を行った。具体的には、まず松戸市戸定歴史館の企画展「徳川昭武のヨーロッパ体験」の連動講演会において、「徳川昭武と日仏文化交流:ヴィレットからの仏文書簡を中心に」と題する発表を行った。またこのテーマに関連し、第二次軍事顧問団団長マルクリ中佐が徳川昭武に宛てたフランス語書簡について調査を行い、論文にまとめた。また関西フランス史研究会では、「産業芸術とジャポニスム:1867年パリ万博をめぐって」と題する発表を行い、これを論文にまとめた。そしてパリ第1大学歴史学科の附属研究機関19世紀史センター主宰のセミナーでは、明治初期の日仏関係と、1878年パリ万博において日本事務局長を務めた前田正名による「日本」の演出・広報活動について研究発表を行った。以上の研究活動を通じ、より広い知見を得て、パリ万博と「日本」像の形成に関する研究総括に向けた土台を築くことができた。
2.1889年と1900年のパリ万博に関する資料調査
上記の研究活動と並行し、1889年と1900年のパリ万博に関する文献および史料を、日本とフランスで調査した。フランスでは、特に国立文書館において、パリ万博への日本の参加経緯および展示内容に関わる史料を収集し、これらの分析を進めた。また日本では、大阪府立図書館等で、日本で最初の1970年大阪万博の開催に至るまでの歴史的経緯を整理し、19世紀から20世紀への万博の形態および意義の変遷に関して視野を広げることができた。

Strategy for Future Research Activity

今後の研究の推進方策については、平成24年度の研究実績に基づき、主として次の2点を考えている。
1.1867年と1878年のパリ万博に関する研究の総括
前期二つのパリ万博に関しては継続的に調査研究を行い、特に次の三つの研究を総括することを目指す。第一に、これら二つのパリ万博を比較検討し、「日本」像の形成過程および変容を分析した結果を総括し、発表することである。また第二に、平成24年度に口頭発表した1878年パリ万博における日本事務局長の前田正名に焦点を当てた研究を論文にまとめる。そして第三に、徳川昭武を中心とした日仏間の個人交流について、これまで継続的に行ってきたフランス語書簡の日本語訳および調査研究の成果を総括し、発表する。
2.1889年・1900年のパリ万博の資料調査を継続的に行い、その研究成果を公表する。
まず優先的に、平成24年度に行ったフランス国立文書館の万博史料を整理し、分析を進める。この作業と並行し、フランス外務省文書館と日本外交史料館の万博史料の収集および分析を進めていく。またパリに加えて、万博の重要な開催都市であるロンドン等についても、万博および日本関係資料の調査を行う。以上の史料調査を通じて、今後は1880年代から顕著にあらわれるフランスの植民地主義の拡大、日本の近代化について、あらためて問いなおして考察を行いたい。そして19世紀のパリ万博全体を対象に、フランスにおける「日本」イメージの形成および変容、さらにパリ万博が社会に果たした機能および意義について考察し、これを総括することを目指す。

  • Research Products

    (6 results)

All 2013 Other

All Journal Article (3 results) (of which Peer Reviewed: 2 results) Presentation (3 results) (of which Invited: 1 results)

  • [Journal Article] アントワーヌ・シャルル・マルクリと日本2013

    • Author(s)
      寺本敬子
    • Journal Title

      仏蘭西学研究

      Volume: 第39号 Pages: 41-52

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] 1867年パリ万国博覧会における「日本」2013

    • Author(s)
      寺本敬子
    • Journal Title

      日仏歴史学会会報

      Volume: 第28号 Pages: 3-20

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] 第1回アーカイブズ訪問記録:フランス国立文書館2013

    • Author(s)
      寺本敬子
    • Journal Title

      一橋大学平成24年度教育プロジェクト:社会科学における「資料の収集・保存・活用」教育の展開、活動成果報告書

      Volume: 第1巻 Pages: 11~12

  • [Presentation] 徳川昭武と日仏文化交流:ヴィレットからの仏文書簡を中心に

    • Author(s)
      寺本敬子
    • Organizer
      松戸市戸定歴史館企画展「徳川昭武のヨーロッパ体験」連動講演会
    • Place of Presentation
      松戸市民会館(千葉県)
    • Invited
  • [Presentation] 産業芸術とジャポニスム:1867年パリ万博をめぐって

    • Author(s)
      寺本敬子
    • Organizer
      関西フランス史研究会
    • Place of Presentation
      京都大学(京都府)
  • [Presentation] France et Japon au debut de l'ere Meiji : Masana Maeda et la presence japonaise a l’Exposition universelle de 1878

    • Author(s)
      寺本敬子
    • Organizer
      Universite Paris 1, Centre d'Histoire duXIXe siecle
    • Place of Presentation
      パリ第一大学(フランス)

URL: 

Published: 2014-07-24  

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