2012 Fiscal Year Annual Research Report
1760-1840年におけるマレー海域の動態:ヒトとモノの移動と「近代」
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24820030
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
太田 淳 広島大学, 文学研究科, 准教授 (50634375)
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Project Period (FY) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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Keywords | マレー海域 / 貿易 / 海賊 / 植民地国家 |
Research Abstract |
平成24年10月から25年1月までは、主に関連する先行研究を検討した。 平成25年3月に約2週間ライデンに滞在し、同市のライデン大学図書館と王立言語地理民族学研究所 (KITLV)、およびハーグのオランダ国立文書館で調査を行った。まず統計資料として、バタヴィア統計局が作成したジャワ貿易資料( 資料が作られ始めた 1825 年から 1840 年まで)を検証した。次いで東インド会社各商館文書、その後継機関の文書、およびオランダ植民省文書のうち、マラッカ、パレンバン、リアウ 、ポンティアナックに設置した地方機関で作成された資料から、周辺地域の人々と社会に関する情報を調査・検討した。ここから得た情報を分析する作業は現在継続中で、平成25年7月頃までに終える予定である。 平成25年3月21-24日には、アジア研究に関する世界最大の学会であるAssociation for Asian Studies Annual Meeting で報告した。University of MemphisのCatherine L. Phipps教授が企画したMaritime Jurisdiction, Smuggling, and Sovereignty across East Asiaというパネルに招待された申請者は、"Trade, Piracy, and Sovereignty: Changing Perceptions of Piracy and Dutch Colonial State Building in West Kalimantan (Borneo) and Riau-Lingga, c. 1780-1830" という、まさに本研究計画に沿った報告を行い、現時点までの調査結果を公表し、世界中の第一線の研究者からフィードバックを得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
オランダの資料調査(2月)では、事前に期待していた情報が得られなかった部分も一方で、期待していた以上の情報が得られた箇所もある。アメリカでの学会報告(3月)では、アジアの様々な地域の専門家から、申請者が今まで考えて来なかったような指摘も受けて、非常に刺激になった。そうした指摘を分析に取り込むのは、次年度の課題である。
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Strategy for Future Research Activity |
4-7月は、現在所有している19世紀マレー海域社会に関するオランダ語資料を精読し、分析とデータベース化 を進める。 8月に2週間ほど西カリマンタンを訪れ、本研究が対象とする地域の地理・生態環境を確認する。その前後に1 週間ほど台湾に滞在し、中央研究院亜太地域研究専題中心に所蔵されるオランダ東インド会社のポンティアナッ ク、マラッカ、パレンバン商館資料を分析する。 8-9月に3週間ほどオランダに滞在し、国立図書館に所蔵される植民地資料の中から19世紀マレー海域社会に関 する情報を調査する。また国立文書館、王立言語地理民族学研究所、ライデン大学図書館において、本テーマに 関係する先行研究を調査し、必要箇所をコピーする。 10-1月は、これらの調査で収集した資料の分析とデータベース化を進める。 2-3月は、こうした作業を通じて得られた情報を基にして、英語論文の執筆に取り組む。
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Research Products
(7 results)