2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24820032
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
辻野 裕紀 九州大学, 言語文化研究科(研究院), 専任講師 (70636761)
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Project Period (FY) |
2012-08-31 – 2013-03-31
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Keywords | 朝鮮語 / n挿入 / 音節接合論 / 形態音韻論 |
Research Abstract |
本研究は,現代朝鮮語の所謂〈n挿入〉について論じるものである。〈n挿入〉をめぐる先行研究を博捜し,その問題点を剔抉した上で,①〈n挿入〉が起きる形態論的条件,②〈n挿入〉の発生論と機能論,③若年層ソウル方言話者の実現実態などについて,攷察,詳論した。その梗概を簡潔に述べると次の通りである。 ①:〈n挿入〉が起きるためには「後行要素が自立形態素でなければならない」とする論考と「必ずしも後行要素が自立形態素である必要はない」とする論考が存在することを指摘し,そもそも〈形態素の自立性〉とは何かという根源的な問題について諸研究を参看しつつ論じた。そして,その結果,〈n挿入〉が起きるためには後行要素が自立的な要素であることが必要であることを闡明した。 ②:〈n挿入〉がなぜ生じるのかという問題について,従前の研究ではしばしば混同されがちであった〈通時的側面〉と〈共時的側面〉を峻別し,その双方から〈n挿入〉を照射した。これらは各々〈n挿入〉の〈発生〉および〈機能〉に関わる問題であり,「なぜ〈n挿入〉が起きるようになったか」,そして「なぜ〈n挿入〉が今なお起き続けているのか」を明らかにした。 ③:3度にわたる,若年層ソウル方言話者の〈n挿入〉実態調査を行ない,若年層ソウル方言話者の〈n挿入〉の実現如何には,総じて後行要素の頭音が最も大きく関わっていること,また他にも,後行要素の長さ,先行要素の末音,なじみ度,語構造,後行要素の第1音節の音節構造,語句の長さ,発話速度など,多種多様な要因が抗衡しつつ,重層的に関与していることを明らかにした。こうした様相はいわゆる規範と懸隔しているものであり,社会言語学的にも興味深いものである。
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Current Status of Research Progress |
Reason
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(5 results)