2013 Fiscal Year Annual Research Report
明代朱載イクの楽律思想における「理」・「気」・「数」概念の分析
Project/Area Number |
24820048
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Research Institution | Rissho University |
Principal Investigator |
田中 有紀 立正大学, 経済学部, 講師 (10632680)
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Project Period (FY) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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Keywords | 中国哲学 / 中国思想史 / 中国音楽史 / 芸術学 / 美学 / 朱載イク / 平均律 / 楽律全書 |
Research Abstract |
本年度行った研究は、主に以下の三点である。 第一に、朱載イクの楽器論を読み解くため、古琴の基礎的な演奏について学んだ。本年度は、古琴の調弦や、楽譜の読み方を中心に学んだ。演奏法については初歩的な段階ではあるが、朱載イクの書いた楽譜や、琴の理論を読むにあたって、非常に有意義な知識を得ることができた。本年度発表した論文の中で引用した朱載イクの文章には、琴の経験がなければ読めないものも複数あった。 第二に、明代楽論について、当初は湛若水や季本、韓邦奇などの音楽理論書を分析する予定だったが、彼らを個別に分析するのではなく、前年度行った何トウの楽律理論をさらに詳細に分析する中で、比較対象として取り上げ、論文として発表した。この研究により、どのような理論が、朱載イクの理論に直接的・間接的に影響を与えていたかが明らかになった。また、明代楽論を分析することによって、朱載イクが高く評価する何トウの理論が、何トウ独自の見解というより、同時代に幅広く共有されていた見解であることを明らかにした。 第三に、清代楽論の分析である。清代を二つの時期に分け、前期を楽律学全盛の時代、後期を楽律学から音楽学へと転換した時代と位置づけ、その中で朱載イクの理論がどのように受容されたかを考察した。前期においては、特に『律呂正義』など官製音楽理論書を取り上げ、なぜ平均律ではなく三分損益律が選択されたのか、その理由を明らかにした。また江永『律呂闡微』を分析し、江永が平均律の象数易学的要素を徹底して追究したことを明らかにした。後期においては、凌廷堪の燕楽研究を再分析し、儒学における音楽論の転換(数理的楽律研究から、音楽史一般の考証への転換)を促した存在として位置付けた。清代の平均律受容を分析することで、朱載イク楽律学の特徴をより明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Reason
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(2 results)