2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24820051
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
小財 陽平 明治大学, 法学部, 講師 (00633314)
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Project Period (FY) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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Keywords | 近世文学 / 日本漢詩 / 菅茶山 |
Research Abstract |
今年度は、菅茶山の別集『黄葉夕陽村舎詩草稿』データ入力作業という昨年度の成果を踏まえ、(1)作品の推敲過程や各評語の分析、(2)茶山の伝記研究を行った。 まず(1)について、「草稿」において六如はしばしば茶山の詩作を批判する評語や、文字の改変を迫る雌黄を施しているが、山陽はそうした六如の書き入れを時に強い口調で否定し、茶山を擁護する記述を行っていることが判明した。版本において、茶山を批判する六如の評語が削除されていたり、山陽が六如を強く非難する部分が消され茶山擁護の書き入れだけが反映されていたりする例が見られる。あるいは六如による茶山批判の評語に妥当性があった場合でも、山陽は渋々これを認めるといった様子で、時には六如の意見を版本に採用しておきながら、評語そのものを削除している場合もある。さらには六如・山陽両者の見解を踏まえた上で、茶山がまた新たに詩句を改稿している例も見出せ、茶山の詩作にかける執念や推敲の跡をたどることもできた。 さらには「草稿」を繙読することで、天明の一揆に際して茶山が為政者への憤懣や一揆を未然に防げなかった自身への不甲斐なさといった負の情念を抱えていたことを知ることができた。 また(2)について、版本では多くの作品が削除されているため、これまで知られていなかった、寛政七年の菅茶山の動向を究明した。この年には、茶山が前年の寛政六年になした近畿周遊の旅で新たに得た知友(そのなかにはこれまで交流があったとは知られていなかった、三宅嘯山が含まれている)との詩の応酬や、尾道での中秋の観月などといった文学的営為を行っており、「草稿」を調査することで、茶山を中心とする文人交流のネットワークの一端をうかがうことができた。なお、この伝記研究は今後も行う予定をしている。
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Current Status of Research Progress |
Reason
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(2 results)