2012 Fiscal Year Annual Research Report
「民族学校」の日韓比較研究――日本の「朝鮮学校」と韓国の「華僑学校」を中心に
Project/Area Number |
24820061
|
Research Institution | Otani University |
Principal Investigator |
宋 基燦 大谷大学, 文学部, 助教 (60636091)
|
Project Period (FY) |
2012-08-31 – 2014-03-31
|
Keywords | 在日朝鮮人 / 在日コリアン / 民族教育 / エスニシティ / 朝鮮学校 / 華僑学校 / 人種主義 |
Research Abstract |
この研究は、日本の「朝鮮学校」と韓国の「華僑学校」への人類学的現場研究を通じて、各々の学校の現状とその教育のもつ意味を実証的に把握し、それを比較することによって、異質な民族集団に対する日本と、かつて日本の植民地だった韓国両国のナショナリズム言説と実践における連続性と差異を実証的に確認することを目的としている。この研究の目標をを達成するために、本研究は現場研究の場所を基準に大きく「朝鮮学校の研究」と「韓国の華僑学校の研究」に分けて進められている。ところが、本研究の代表者の職場が日本にあるため、「韓国の華僑学校研究」は時間的・空間的な制約がある上に、韓国の華僑学校の閉鎖性は、学校空間に対する現場研究の障害になっている。 そのために韓国の華僑学校とそのエスニックコミュニティに対する調査は、朝鮮学校への研究から確認された「争点」に絞った形で随行されている。現在、韓国の華僑学校への調査は、主に文献調査と韓国の仁川市におけるチャイナタウンの華僑コミュニティへの参与観察で行われている。現在は関係づくりと、共同体の文化・景観と地方自治体の行政との関係などへの理解を中心に現地調査を進めているが、今年の調査では華僑学校とその学生、保護者に対する調査を進めていく予定である。 朝鮮学校への調査は、本研究の代表者が過去に調査した「J初級学校」と「H中級学校」に対する再調査と過去の研究当時の生徒と教師、保護者への追跡調査の二本柱で進められているが、現在のところは、過去の研究当時の関係者への追跡調査を中心に、過去の調査記録の再解釈を試みている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
調査全体の進捗状況は概ね順調に進んでいると評価できるが、韓国の華僑学校への調査は、韓国の華僑学校がもっている閉鎖性により、調査を進めていくうえでの障害になっている。
|
Strategy for Future Research Activity |
全体の調査の流れに大きな変化はないが、万が一、韓国の華僑学校現場にたいする関与観察の実施に失敗することを備えて、学校外部の支援団体、学生組織への調査対象を拡大していく計画である。
|
Research Products
(2 results)