2012 Fiscal Year Annual Research Report
隋唐洛陽城の水環境からみた穀倉と漕運の発展について
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24820075
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Research Institution | The Toyo Bunko |
Principal Investigator |
宇都宮 美生 (財)東洋文庫, 研究部, 研究員 (10638985)
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Project Period (FY) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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Keywords | 隋唐洛陽城 / 都城 / 水利 / 穀倉 / 漕運 / 含嘉倉 / 運河 |
Research Abstract |
2年間の研究課題の初年度では穀倉というテーマで、都城における穀倉の役割と地形的な自然条件との関係を明らかにするために、現地調査とそれを考察、分析および発表するための技術的な方法の習得に努めた。まず、先行研究として、新たな論文および発掘調査報告書を入手した。情報収集としては中国水利史研究会に参加し、研究者との交流および水利史研究の情報を得た。東アジア都城史研究会の国際会議に通訳として参加し、中国人研究者2名の講演の通訳と報告の翻訳を通じて、都城の構造と水利との関係について専門的かつ新しい見識を深め、日本史、中国史および朝鮮史における都城史の研究者との交流及び情報収集をすることができた。(http://www.toa-tojo.com/modules/bulletin/index.php?page=article&storyid=22)。同研究会の主催で、京都、奈良、大阪の都城、発掘現場および歴史博物館の訪問と見学ツアーに参加し、考古学を中心とした専門家の意見や助言を得るだけでなく、日本の古代都城の構造と位置を地形的に考察し、日本と中国の都城の比較をすることができた。次に、実地調査については洛陽のフィールドワークを2回行い、四倉の所在地に出向き踏査した。位置と地形、周辺の河道あるいは水道の有無と距離、遺構の確認を行い、収集した発掘調査報告書などと照合した。現地情報を得るだけでなく、河道と穀倉の位置の関係およびその地形的立地を考察した。技術面では、実地調査を考察し分析する方法として、都城や歴史GISの応用に関する書籍、古代の地図、CORONA衛星写真等を入手し、さらにArcGISのソフトの基礎と応用については授業や講習会などに多く参加し、その操作方法を習得し、今後の成果報告に役立てる準備が整った。研究の成果を図表で表現した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
計画当初では、文献史料の検証、現地調査、水利史研究会での情報収集および他の研究機関での資料収集を主な研究内容に取り上げたが、東アジア都城比較研究会の国際会議に参加することで、幅広く知識を得られ、また各方面の研究者と意見交流をする機会をもち、予想以上の新たな情報を得ることができた。これにより、研究対象としている洛陽城について、日本史、朝鮮史および中国史の視点を参考に多方面から考察できるようになり、今回の考察や分析に役に立っている。現地調査では、かなり細部にわたって踏査ができ、問題としていた点を確認することができた。また、GISの習得については、単なるシンプルな地図の作成にとどまらず、講習会や研究会の参加により複雑なものが作成できるようになった。その他、市販のソフトを使って研究の成果を図表で表現できるようになり、25年度に予定している発表の準備ができた。
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Strategy for Future Research Activity |
穀倉そのものについては、従来の文献史料の考察と今回の現地調査の結果を統合した成果をまとめ、25年度にいくつか発表できるようにする。また新たにホームページを作成し、これまでの成果を、学術的な情報と現地の状況を視覚的に発表できる環境を整える。近い将来、中国とインドを対象とした歴史GISをベースとする共同研究(仮称)が発足することになり、それに積極的に参加して研究の方法論を学び、GISの応用に生かす。東アジア都城比較研究会を通じて日本史、朝鮮史、中国史の研究者との交流を深め、その情報を研究成果に取り入れて、25年度の旧運河に関する研究と併せて、穀倉と都城との関係および漕運との関連についても研究する。
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