2012 Fiscal Year Annual Research Report
社会的協働の創出プロセス-繊維産業におけるリサイクル事業を事例として-
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24830006
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
大倉 邦夫 弘前大学, 人文学部, 講師 (60634722)
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Project Period (FY) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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Keywords | 経営学 / 企業の社会的責任 / ソーシャル・ビジネス / 組織間関係 / 協働事業 |
Research Abstract |
本年度では、社会的協働が生み出されていくプロセスを分析するための枠組みを構築するために、主に先行研究の調査を行った。本研究では、社会的協働に関するアイディアを生み出し、中心となりながら事業計画を策定する人物や、その事業に参加する各企業の担当者が、それぞれの社内の主要な人物や部門を説得することを通して資源を動員し、社会的協働を生み出していくプロセスに注目している。そこで、本年度は特に資源動員に関する先行研究や、組織間関係論に関する先行研究をレビューし、分析の手がかりとなる概念や枠組みを検討した。 こうした先行研究の調査を通じて、本研究では「推進者の役割」、「組織内外の関係主体を説得していくための理由」、「社会的協働に参加した組織の内部における資源動員のプロセス」という点が、社会的協働の創出プロセスを分析する際の重要な視点になると考えている。従来の社会的協働の創出プロセスに関する先行研究では、上記の3つの点について十分な考察がなされていないということが、これまでの調査から明らかになっており、その意味においても、本研究で取り組む意義があると思われる。 その他、本年度は、主たる調査対象である「株式会社エコログ・リサイクリング・ジャパン」へのインタビュー調査を実施した。同社は繊維産業のさまざまな企業を巻き込みながら、協働事業を通じてリサイクル・ビジネスを展開している企業であり、社会的協働に取り組んでいる事例として位置付けられる。 本年度のインタビュー調査を通じて、同社がどのようにして繊維産業のさまざまな企業を巻き込んでいったのか、またその際の課題とは何であったのかということが明らかとなった。特に、重要な点はトップのリーダーシップと、推進者による組織内外の関係主体の巻き込み、という点である。次年度は再度インタビュー調査を進め、推進者の役割について考察を深めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、基本的に社会的協働、資源動員、組織間関係に関する先行研究の調査を計画しており、これらの文献については一通り入手し、考察を行うことができた。また、先行研究の調査を通じて、本研究の分析枠組みを構築することができた、という点においても当初の計画通り進んでいると考えられる。 また、文献調査だけではなく、インタビュー調査を実施できたという点からも、当初の計画を達成していると分析している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、本年度の文献調査を踏まえて、インタビュー調査や資料調査を中心とした事例研究を進めていきたいと考えている。インタビュー調査については、本年度調査を行ったエコログ・リサイクリング・ジャパンを中心に、関係企業を訪問することを予定している。その際には、エコログ・リサイクリング・ジャパンの担当者から、関係企業を紹介してもらう。 また、資料調査については、雑誌・新聞記事、Webの記事を活用することを計画している。雑誌・新聞記事については、本年度から収集を進めており、次年度についても引き続き、資料の収集を行う予定である。
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