2013 Fiscal Year Annual Research Report
社会的協働の創出プロセス-繊維産業におけるリサイクル事業を事例として-
Project/Area Number |
24830006
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
大倉 邦夫 弘前大学, 人文学部, 准教授 (60634722)
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Project Period (FY) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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Keywords | 社会的事業 / 社会的協働 / アライアンス / 企業の社会的責任 |
Research Abstract |
本研究の目的は、複数の企業がそれぞれの製品・サービス・技術力をはじめとする様々な資源を持ち寄り、地球環境問題などの社会的課題の解決に取り組む「社会的協働」という事業形態がどのようにして生み出され、いかにして発展するのか、そのプロセスを明らかにすることである。 上記の点を検討するために、本研究は繊維製品の廃棄物問題という社会的課題の解決に向けて、繊維製品のリサイクル事業を展開した、株式会社ワッツと繊維産業の複数の企業による「エコログ・リサイクリング・ネットワーク」を社会的協働の事例として取り上げた。同ネットワークは、アパレルメーカーのワッツを中心としながら、原料メーカー、資材メーカー等の各企業から構成されており(現在65社)、リサイクルし易い製品の開発・使用済み製品の回収・リサイクル、という繊維製品のリサイクルの仕組みを1994年につくりだした。本研究で明らかになった点は以下の通りである。 第1に、社会的協働の形成を可能にする要因として、強力なリーダーの存在が挙げられた。同ネットワークは、ワッツの代表取締役社長であった和田敏男が中心となり、自社の従業員に加え、外部の企業を説得することで形成された。 第2に、社会的課題の解決という社会的ミッションが、社会的協働に関わった組織を説得する際の主たる理由であったことが示された。同ネットワークの設立当初は事業として成り立つかどうか不透明な状況であった。そのような中、各企業は、繊維製品の廃棄物問題やそのリサイクルの重要性という点に共感し、同ネットワークに参加した。 第3に、和田というリーダーを支えた支援者らの存在が社会的協働の形成を促したという点も明らかになった。和田に共感した各企業の担当者が、それぞれの企業内部における関係者を説得し、リサイクル事業への資源動員を可能にしたことで、複数の企業の協働によるリサイクルのネットワークが実現した。
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Current Status of Research Progress |
Reason
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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