2012 Fiscal Year Annual Research Report
<生活の論理>を汲む政策決定と中間媒介システムの再構築に関する研究
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24830011
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
佐藤 彰彦 福島大学, うつくしまふくしま未来支援センター, 特任助教 (00634974)
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Project Period (FY) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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Keywords | 東日本大震災 / 原発避難 / 政策 / 生活 |
Research Abstract |
東日本大震災後、被災地では、体制側が迫られる<有事の対応>をめぐり地域・行政間で、避難、生活補償等をめぐる様々な問題が体制批判という形で噴出している。申請者は、「こうした問題噴出のメカニズムは、平時の政策決定過程に内在し、それが<震災>を契機として拡大・深刻化~噴出している」という仮説をもっている。したがって、本研究では、現在、被災地域で起きている(かつ継続している)現象を、震災前後のフェーズから捉え、①政策展開過程における情報媒介機能と民意反映のメカニズムの解明に取組むとともに、②<有事>の政策遂行下における問題生成過程と情報媒介機能の役割、の両面から捉えることによって、今後の地方自治ならびに震災復興に資する政策的インプリケーションを提示することを目的とする。 初年度の研究では、飯舘村をはじめとする福島県内の被災市町村において、避難者(県外避難者を含む)、行政(主として企画担当、災害対策、避難担当の部局等)、生活支援相談員、支援活動団体などを対象とした聞き取り調査を行ってきた。質的調査の積み重ねによって、復興初期段階で生じる問題析出と官民媒介機能の対応課題の把握に努めてきた。そこから見えてきたことは、被災自治体において、手続的公正の要素でもある「発話」や「対話」機会が極端に不足する一方で、それらが表向きに(対世論に対して)整備された民意集約の仕組みを通じて、かつ、国によって規定された復興スケジュールや予算措置等の作用によって政策が決定され、さまざまな施策・事業が展開されている構造である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
飯舘村、富岡町を中心に避難者や行政関係者、支援者などへの調査を一定程度行うことができた。比較的避難生活者を対象としたデータ蓄積が多いが、この点については、年代や属性、地域別(例えば、避難経緯や再編後の避難区域別など)などの視角から今後分析を進めていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、昨年度に引き続き質的調査の継続に努めるとともに、「行政・住民」間あるいは「政策・生活」の狭間で、外部環境がどのように作用している(きた)かをマクロ的にみるための量的調査を併せて実施する予定である。
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