2012 Fiscal Year Annual Research Report
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24830015
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
三森 八重子 筑波大学, ビジネスサイエンス系, 准教授 (00627309)
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Project Period (FY) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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Keywords | 知的所有権 / インド / 製薬産業 / 新興国 / ビジネスモデル |
Research Abstract |
研究代表者(三森)は、2007年から2009年にかけて「公共政策(特許法)の産業に与える影響」をテーマに、インドを対象国として選択し、特許法のインド製薬産業への影響をテーマに研究を行った。今回の研究は、同研究のフォローアップ調査としての位置づけで、「2005年の特許法改正から8年たった現在のインドの特許法のインド製薬産業への影響を調査する」ほか、インドと対比するため「他の新興国の調査を行う」こと、および新興国との対比として、「先進国米国の調査を行う」ことを計画した。H24年度は、インドおよびほかの新興国、先進国(米国)に関する文献調査を行うとともに、現地調査として、インドおよびインドネシアを訪問した。現地調査に先駆けてセミナーへの参加、専門家のインタビューを行った。 文献調査は、ネットを通じたデータの収集のほか、国会図書館および米国大使館のレファレンス資料室を利用した文献調査を行った。 また、現地調査に先立ち以下のセミナーに参加した。(i)『第3回丸の内インドビジネス講座』(主催:Sun and Sands Group社) (ii)アジア各国薬事ビジネスセミナー 主催:情報機構 (iii)大阪医薬品協会主催の『第3回インドの医薬品産業に関する講演会』。 さらに、現地調査に先立ち、専門家にヒアリングを行った。①佐藤百合・日本貿易振興機構アジア経済研究所地域研究センター長 ②久保研介・日本貿易振興機構アジア経済研究所開発研究センター研究員 ③紋谷崇俊弁護士(西村あさひ法律事務所) 上記の文献調査、セミナーへの参加、専門家のヒアリングを踏まえて、インドおよびインドネシアの現地調査を行った。①インド(H25年2月16日より28日)②インドネシア(H25年1月27日より2月3日)③さらに日本インダストリアルエンジニア協会主催のインドネシア調査団に参加した。(H25年3月3日より9日)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
文献調査は、国会図書館や米国大使館レファレンス室などを利用してすすめた。時間の制約がある中で、ある程度のデータ収集を行うことができた。研究テーマについて、足元各方面で動きが期待されるため、H25年度も引き続き必要に応じて文献調査を進めていく予定である。 H24年度は、インド、インドネシア関連の3つのセミナーに参加したが、各セミナーとも的を絞った、大変生産性の高いセミナーであり、最新のデータを得ることができた。また、現地調査にさきがけて、専門家との一連のヒアリングを行った。的確な専門家との意見交換は効率が極めて高く、必要な情報が的確に入手でき、大変効果的であった。 これらを踏まえてインドおよびインドネシアの現地調査を行った。インドおよびインドネシアの現地調査では、適切な担当者からヒアリングを行うことができ、多くの情報を得ることができた。インドの現地調査では、ムンバイ、ニューデリー、バイザック、ハイデラバードを訪問し、政府関係団体(科学産業研究委員会(CSIR)、情報技術予測評価委員会(TIFAC))、業界団体(インド製薬産業連盟(IPA)、インド製薬工業会(OPPI)、インド医薬品製造業組合(IDMA))、経済団体(インド商工会議所連合会(FICCI))、インド製薬企業(ドクターレディス、ランバクシー、ルーピン、ピラマルなど)、日本の製薬企業(エーザイ)などを訪問し、情報を収集した。インドネシア訪問では、インドネシア政府機関(特許庁)、インドネシア製薬企業(カルベ・ファルマ、キミア・ファルマ、インドファルマ、デクサメディカ)、日本企業(テルモ、エーザイ、明治ファーマ、ロート製薬、大塚製薬など)、大学(バンドン工科大学)などを訪問し情報収集した。
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Strategy for Future Research Activity |
文献調査:研究テーマについて、足元各方面で大きな動きが期待されるため、H25年度も引き続き必要に応じて文献調査を進めていく。必要に応じてレポートの入手なども検討したい。セミナー: H25年度も信頼性の高い、情報量の豊かなセミナーを厳選し、参加していきたい。専門家とのヒアリング:H24年度に引き続き、H25年度も的確な専門家との生産性の高い情報交換を行いたいと考えている。 現地調査:H24年度に引き続き、H25年度も現地調査を行う計画である。①インド訪問:H24年度に引き続きインドを訪問する。足元、本研究テーマについて大きな動きが期待されており、直近の動きに的を絞ったヒアリングを行う。②インドネシア訪問:H24年度に引き続きインドネシアを訪問する。足元、本研究テーマについて大きな動きが期待されており、直近の動きに的を絞ったヒアリングを行う。③米国訪問:インドやインドネシアなどの新興国との対比として、先進国である米国の動向を調査する。バイオ製薬企業が集積しているボストンおよびベイエリアを訪ずれ、バイオ・製薬企業を訪問して企業側の戦略について、情報収集を行う予定である。世界のバイオ・製薬市場では米国のプレゼンスが圧倒的に大きく、世界市場の50%超を占めており、そういった意味でも米国市場の動向を把握することは極めて有益である。 研究報告書の執筆:平成24年度の現地調査および文献調査に加えて、平成25年度に行う現地調査からの情報も利用して、分析を行う。応募者がこれまで行ってきたインドにおける特許法と産業の関連性分析から、今回は、途上国と先進国の特許法の解釈、その市場への影響に係る比較研究、およびインド以外の途上国・新興国における特許法と産業の関連性分析へと研究のスコープを広げ、さらに研究を深掘りする。研究成果は報告書としてまとめるほか、学会などで発表する。
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