2012 Fiscal Year Annual Research Report
Closing the Human Rights Gap in Asia
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24830042
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
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Project Period (FY) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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Keywords | ボトムアップ型地域人レベル権擁護機関 / 国内人権擁護委員会構成の地域レベル人権擁護機関 / アジア的地域主義 / 人権擁護機関の移植 |
Research Abstract |
本研究で、これまで明らかになったことは、アジア太平洋フォーラムが1996年に設立されてからの進化を経て、地域レベルの人権擁護機関として機能し始めていることである。当フォーラムは、東南アジアのほぼ全ての国、そして北東アジアからも3つの国から国内人権擁護員会を受け入れ、目覚ましい地理的拡大を収めてきただけでなく、活動内容の多様化や構成の多層化をも果たした。人権擁護貢献としても取り上げられる具体的な例としては、モンゴルとフィリピンにおける虐待行為を容認する法律の改正や、フィジ-での死刑の廃止や、ニュージーランドでのテロ被疑者の長期留置防止等がある。 アジア太平洋フォーラムのこのような進化の意義は二つある。一つ目は、アジアに住む人たちの人権擁護状況が改善されつつあるということ。二つ目は、西欧の体験から生まれた(地域人権裁判所や地域人権委員会や地域人権条約から成り立つ国家間の)地域レベル人権擁護機関以外にも、別の形をした地域レベル人権擁護機関もあり得ると示唆していることである。国家から独立した国内人権擁護委員会から構成されるアジア太平洋フォーラムが、今後、日本、台湾と中国からの国内人権擁護委員会もリクルートし強化されると本研究で判明されれば、ボトムアップ型地域レベル人権擁護機関も可能であることになる。そして、それは今後他の地域の為に役立つモデルになると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度末までの目的は、アジア太平洋フォーラム全体としての調査を一次資料、二次資料の両方で行い、日本、台湾と中国の人権擁護委員会設立過程についても情報収集することであった。これらの目的を予定通りに達成でき、複数の国内外の国際学会や大学、人権研究センター等でアジア太平洋フォーラム全体の研究成果の発表を行ったほか、投稿した三つの学術論文が公刊されることになった。 成果の内容としては、アジア太平洋フォーラムがアジア地域の中で人権擁護機関に最も近い存在であることが確認でき、これからの活動にも期待できるであろうという結論を実証的審査のもと辿り着いた。調査の詳細は、当フォーラムの人権救援業績と1993年にアジアの人権欠陥克服に向けて人権擁護機関形成を提供した東南アジア諸国連合(アセアンとも呼ばれる)のそれと比較したところで、前者「研究実績の概要」に述べたような具体的な成功を誇れるのに対して、後者は何も一つないということである。更に、当フォーラムが独立性に乏しい、重大な人権侵害を取り繕うとする政治的目的の、国内人権擁護員会をも含んでいるという批判が存在するが、当フォーラムはそのような人権擁護委員会を追放したり、途中で設けたメンバーのランク制度のもとでランク下降処罰も適用したりした。それらの行為・措置はこれからもフォーラム中の国内人権擁護委員会だけでなく、メンバーになろうとしている、日本、台湾と中国を含めての他国の国内人権擁護委員会の独立性をも促すと考えられる。その為、アジア太平洋フォーラムは、現在、アジアの中で一番国連の支援を受けている組織にもなっている。
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Strategy for Future Research Activity |
アジア太平洋フォーラムの更なる地域レベル人権擁護機関としての威信強化の可能性を理解するために今後は日本、台湾と中国で政府から独立した国内人権擁護委員会計画がどこまで進んでいるかを探りたいと思う。日本、台湾と中国でも当フォーラムの独立性条件をクリアし加入できる国内人権擁護委員会が設立されるのであれば、当フォーラムが確実にアジアの包括的な地域レベル人権擁護機関としての役割を担えるであろう。日本と台湾については、経済発展レベル・文化・伝統・社会等において二者と多くの共通点を持つ韓国が2001年に国内人権擁護委員会を設置したことが良い兆しであろう。中国においても、独立した司法権が無い国でありながらも、現在、国内人権擁護委員会の必要性について学界内では討論が繰り広げられているようだ。今年度作成予定のそれぞれのケースを取り扱った論文と昨年度に作成したアジア太平洋フォーラム全体についての論文を、最終的に一冊に取りまとめる予定である。 研究の結果、注目している国の内、一部、あるいは全ての国で国内人権擁護委員会設立が期待できない結果になったとしても、それはアジア地域の人権状況とこのボトムアップ型地域レベル人権擁護機関モデルを他の地域に移す可能性を理解するに有益な結果になると思う。更に、日本、台湾と中国の様々な国内人権討論のレベルが明らかになる。
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