2013 Fiscal Year Annual Research Report
人形遣いのわざ伝承場面における身体的相互行為を手がかりとした「学び」モデルの構築
Project/Area Number |
24830047
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
奥井 遼 京都大学, こころの未来研究センター, 研究員 (10636054)
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Project Period (FY) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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Keywords | 教育学 / わざ / 身体的相互行為 |
Research Abstract |
本研究の目的は、身体を使った「わざ」の伝承場面の観察・分析を通して、近代教育において捉えられてきた知識伝達のあり方を根本的に見直し、新たな「学び」モデルを構築することにある。最終年に当たる平成25年度は、淡路人形座へのフィールド調査を補完的に行い、これまでに蓄積してきた記録に対する分析を重ねたことで、国際会議での発表および学位論文の完成へと結実した。これらにより、当初の計画以上に研究を進展させることができたといえる。 具体的には、4月にマインツ大学(ドイツ)での国際会議、5月に台北国立芸術大学(台湾)での国際会議にそれぞれ参加し、わざの伝承場面における身体的相互行為の分析に関する研究発表を行った。議論の中で、本研究に関する知見のみならず、海外の近年の研究動向に関する情報を交換することができた。また、8月にはオランダのユトレヒト大学が提供する集中講義に参加し、現象学的教育学の伝統的な蓄積と最近の知見に触れた。人文社会系の諸領域において、看護や教育の現場における出来事を記述するための議論は蓄積されつつあるものの、芸能やスポーツといった身体的実践といった対象は未開拓の領域である。本研究では、経験を記述するために現象学を用いてきたユトレヒト学派の研究者の手法を学び、それを踏まえて、身体的実践を描き出すための理論的土台を精緻化することができた。 さらに本研究は、博士学位論文「わざの臨床教育学――淡路人形座における人形遣いの稽古および興行に関する現象学的記述」の重要箇所に結実し、平成26年3月、京都大学大学院教育学研究科より学位を授与された。これにより、本研究の最大の目的である、身体的相互行為を手がかりとした「学び」の可能性を、既存の教育学研究・わざ研究に広く提起することができた。本研究は、「身体による学び」を根本的に再構築する上で、新たな観点と手がかりを提起するものといえよう。
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Current Status of Research Progress |
Reason
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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