2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24830050
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
鈴木 新 神戸大学, その他部局等, 研究員 (10637002)
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Project Period (FY) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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Keywords | 管理会計 / 原価計算 / コストマネジメント / 原価企画 / VE |
Research Abstract |
研究初年度となる本年度は、本研究の分析枠組みの構築、およびインタビュー調査や資料収集によるデータの収集を中心として研究活動を行った。 分析枠組みについては、ヴェブレン(1904)の「産業」と「企業」の枠組みの中で、原価企画における市場志向性と技術志向性をどのように一体的に捉えられるのかを考察した。その結果を、雑誌『社会関連会計研究』(査読付)第24号、pp.41-51に、論文「制度的思考による原価企画研究の意義」として掲載した。 次に、データの収集については、特に本研究において原価企画の中心的原理と見なしているVEについてのインタビュー調査、資料収集を行った。まず、わが国におけるVEの黎明期を担った第一人者の方々5名へのインタビュー調査を行い、貴重な証言を得るとともに、本研究への新たなヒントも得ることができた。また、就学時には入手困難であった遠方にある歴史的資料にアクセスし、貴重な資料を収集した。収集したこれらのデータは、次年度(25年度)で行う予定の分析において使用される。 さらに、原価企画の歴史研究を行うに当たり、今日の実践にも通じるインプリケーションを引き出すため、今日の原価企画実践についての調査研究も同時並行的に行った。その成果は、原価企画実践に携わる実務家と、原価企画研究の第一人者の共著論文「原価改善と原価企画の実践における連携‐製造業3社の事例から」として、『原価計算研究』誌(査読付)第37巻第1号に掲載が決定した(近刊)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
分析枠組みの構築については、予想よりも早く進展し、成果を査読付き雑誌に掲載することができた。また、歴史的資料の収集、およびインタビュー調査も順調に行うことができており、これらの点は計画通りに進行している。さらに、今日の原価企画実践についての研究も行い、その成果は査読付き雑誌に掲載決定し、本研究にとって重要な視点を得ることができた。 ただし、当初予定していた学会報告については、データの収集やおよび論文執筆に時間を要したため、計画通りに進行していない。しかし、論文執筆およびデータ収集は順調に進行しており、研究の全体的進捗に影響を及ぼすほどの事態ではないと認識している。
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Strategy for Future Research Activity |
1年目に収集した歴史的資料、およびインタビュー調査の成果をもとに分析を行い、その結果を学会報告および論文執筆により公表することを中心とする。 特に序盤(7月まで)においては、言説分析と新制度派社会学との併用によって、1年目に収集した資料やインタビュー成果を分析することに注力する。同時並行的に、後述の学会報告に必要となるフルペーパーを準備する。 中盤(7月から12月頃)においては、学会報告に注力する。すでにアジア太平洋学際的会計研究学会(Asia Pacific Interdisciprinary Research in Accounting, APIRA2013)のEmerging Scholor Colloquium(7月)、日本会計研究学会全国大会(9月)に、報告を申し込んでいる。また、日本社会関連会計学会全国大会(11月)での報告も計画している。 終盤となる1月から3月にかけては、集大成となる英語論文を執筆し、海外の学術誌に投稿する。
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Research Products
(4 results)