2012 Fiscal Year Annual Research Report
企業家的キャリア戦略の研究:地域における女性の企業家活動とその課題
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24830056
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
松岡 久美 香川大学, 経済学部, 准教授 (30325310)
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Project Period (FY) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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Keywords | 企業家活動 / キャリア / 女性 |
Research Abstract |
本年度は、既存研究のレビューを中心としつつ、女性企業家の活動上の課題について精査した。多くの研究や調査データにおいて、女性企業家の活動上の課題として、資金調達や人脈、経営知識などの側面での弱さが指摘されていた。また、男性との顕著な違いとして、世代間で差異はあるものの「家事・育児・介護との両立」という課題が指摘されていた。 女性企業家へのパイロット調査の結果からも、育児あるいは介護を要する家族を持つ企業家は、事業展開の仕方に工夫や変更を行うことでこの課題に対応しようとしていることが明らかとなった。 育児や介護といったライフステージ上の出来事と自身の経営者としての活動の間に生じるジレンマは、時間の流れとともに変化する。従って、ライフステージ上の出来事をどの程度、事業計画の中に織り込むか、あるいは事業計画に柔軟性を持たせておくかが、事業運営上、また、自身のキャリア設計上でも重要となる。「企業家的キャリア戦略」という概念は、こうした現象を説明する上で、有益な概念であると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
文献のレビューは予定どおり進んでおり、論点の整理ができている。女性企業家の調査については、当初計画した件数までは到達していないが、個々の事例を精査しつつ調査を進めており、今後の展開の目処もたっている。これらの結果を踏まえ、概ね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
女性企業家について議論する際には、ライフステージ上のイベントとどのような向かい方をしているのかを、各世代の企業家に対して調べる必要があると考えられる。高松市近郊で活動する女性企業家への調査を継続するとともに、アンケート調査により、より広範な対象者からデータを取得し、分析を行う予定である。
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