2012 Fiscal Year Annual Research Report
外国人労働者受入の経済的便益と社会的費用:日本の中小企業と地域社会の実態調査
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24830061
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
鹿毛 理恵 佐賀大学, 経済学部, 客員研究員 (90638826)
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Project Period (FY) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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Keywords | 日系人労働者 / 地域社会の外国人労働者受入れ / 入国管理センター |
Research Abstract |
本研究課題の目的を達成するため平成24年度に実施した調査研究は以下の通りである。当該年度は既存研究の整理と二次的データの収集・分析に念頭を置いて行った。具体的には、本研究課題に関連する文献・資料調査を行い、それらをベースに日本の外国人労働者受入れの問題点の把握に努めた。また、厚生労働省や法務省、国際研修機構などが公表する外国人労働者に関する統計データの変遷の把握と、日本の受入れ政策の流れ、日本経済の変動と構造変化などのデータも収集した。そしてそれらの間にどのような関連性があるのかについて考察するための下準備を行った。 この他、外国人労働者の日本での労働環境、生活実態、地域社会の参加活動の状況等について把握するため、簡便なフィールド調査を実施した。具体的には、外国人労働者が集まる教会をたずね、日系人労働者、日本人配偶者、教会関係者、教会の周辺住民から聞き取り調査を行った。日系人労働者からは職場環境、日本での生活状況などをたずねた。教会関係者と教会の周辺住民からは日系人労働者の流入初期に対立があったことや、その後の幾度もの話し合いの末に日系人たちへの理解が深まったことなど、日系人労働者受入れの取り組みなどが具体的に語られた。また、生活実態や子供の教育問題など、多くの既存研究でも指摘されている内容に関する現状の把握につながった。また、長崎県大村市にある入国管理センターをたずね、不法就労・不法滞在・刑務所からの移管・難民申請者などと面会した。そこでは、日本に来た経緯と理由、収容されるまでの経緯、現在の健康状態、日々の過ごし方、問題や悩み、今後の計画、帰国の意思などをたずねた。 さらに、スリランカを訪問し、日本でスリランカ人労働者の研究を実施した研究者と意見交換を行った。また、現地では日本に働いた経験を持つ男性4名から、日本で働くまでの経緯、収入、帰国後の状況についてたずねた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成24年度は他部局にて事務・調査研究補助の仕事をしていた。特に正式に本研究課題が採択された平成24年度後半からは他部局での仕事が多忙をきわめ、当初計画していた平成24年度分の研究計画を完全に達成することができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度の研究実施計画は可能な限り以下の通りで実施する。昨年度に引き続き、本研究課題に関する文献調査と資料調査の実施し、その成果を研究ノートとしてまとめる。次に、外国人労働者(特に技能実習生など)の関係受入機関への聞き取り調査を行い、全体像の把握に努める。関係機関より外国人労働者を雇う企業を紹介してもらい、可能であれば聞き取りとアンケート調査を行いたい。また、労働・人権問題に取り組むNPOや関係機関への聞き取り調査を行い、外国人労働者が持ち込む相談内容や問題などの把握に努める。この他、外国い人労働者の地域社会での受入れ状況の実情を把握するため学校、教会などでの聞き取り調査を行う。 文献・資料調査、聞き取りアンケート調査をもとに分析し、調査研究結果をもとに学術論文の作成、研究成果を国内外の学会やシンポジウムで論文発表、出版することを予定している。
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