2012 Fiscal Year Annual Research Report
母子の遊びツールが子どもの社会的認知発達に及ぼす効果の行動的および脳機能的検討
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24830062
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
佐藤 鮎美 佐賀大学, 医学部, 助教 (90638181)
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Project Period (FY) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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Keywords | 社会的認知能力発達 / 共同注意 / 行動観察 / 脳機能測定 / 母子の遊びツール / 紙絵本 / 電子絵本 |
Research Abstract |
本研究では,紙で作成された「従来型絵本」,iPadのようなタブレット型端末のアプリケーションにより機動・操作できる「電子絵本」を用いた場面における母子の行動観察および脳機能測定を行った。それにより,絵本の異なる形態が子どもの社会的認知発達に及ぼす効果を検討した。 平成24年度においては,子どもの社会的認知として共同注意を扱い,絵本の形態の違いが共同注意状態にある子どもの行動および脳の賦活に及ぼす効果を検討した。 佐賀大学医学部内にあるプレイルームで,母子が上記のツールを使用した場面を撮影し,Sato & Uchiyama (2012) およびOsorio et al. (2011) の指標を基に行動を解析した。この研究結果については,XVIth European Conference on Developmental Psychology に採択済みであり,2013年9月に発表予定である。 また,上記のツールを使用し共同注意を行った際の子どもの脳機能を測定する研究についても,同様のプレイルームで実施しており,現在,約半数のデータを取り終えたところである。 先行研究から,共同注意が生じた際に,左背側前頭皮質(Grossmanne & Johnson, 2010)が強く賦活されることが知られている。よって,本研究でも,左背側前頭皮質の賦活を測定できるように近赤外光脳機能イメージング装置(fNIRS)のヘッドセットを改良した。また,当初,fNIRSは,日立製作所製のHOT121を購入予定であったが,当該機器が2チャンネルのみしか測定できないため,所属研究室の別経費で,16チャンネルを測定可能であるSpectratech社製のOEG-16を購入し,使用した。本研究費においては測定に必要なソフトおよび装置稼働用のコンピュータを購入した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度は,乳児期における上記ツール使用時の共同注意の様相を行動観察および脳機能測定により明らかにすることが目的であった。研究初年度は,研究実施準備としてプレイルームの設置および参加者募集を行うため,多大な時間と労力が必要になる。それにも関わらず,行動観察の実施およびデータ解析,学会発表,さらには一定数以上の脳機能測定を実施できたため,おおむね順調に研究が進んでいると言えよう。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度においては,幼児期の子どもの社会的認知として他者の感情理解に着目し,絵本の異なる形態が子どもの登場人物の感情理解課題における成績および登場人物の感情生起場面における子どもの脳の賦活に及ぼす効果を検討する。 昨年同様,佐賀大学医学部内に設置されたプレイルームにおいて子どもの感情理解課題および脳機能測定を実施する。 今年度より,所属が京都橘大学に変わったが,佐賀大学医学部の客員研究員として今年度も研究を続ける予定であり,昨年度作成したプレイルームも今年度末まで維持されるため,実験遂行が可能である。さらに,当該年齢の幼児の参加者募集は昨年度完了しており,幼児の場合は母親就業や通園開始によって,週末および夏季休暇での実施が中心となるため,現所属大学の業務と並行して研究を実施することができる。
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Research Products
(1 results)