2012 Fiscal Year Annual Research Report
初期の読み書き発達に対する正書法の一貫性の影響：縦断的検討から
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24830073
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| Research Institution | Seigakuin University |
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Principal Investigator |
井上 知洋 聖学院大学, 人間福祉学部, 講師 (30635016)
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| Project Period (FY) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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| Keywords | 読み書き発達 / 正書法 / かな文字 / 漢字 / 縦断的検討 |
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| Research Abstract |
本研究の目的は，日本語のかなと漢字の２種類の文字間の比較を通して，学齢期初期の児童における読み書きの発達に対する，正書法の一貫性の影響を明らかにすることである。
本研究は，未だ国内においては測定方法が確立されていなかった多くの認知的および非認知的要因を含み込んでいる。平成24年度は，これらの要因を評価するための尺度群を作成し，それらの心理測定学的特性を評価するための予備的検討を行った。
これらの尺度群のうち音韻意識を評価する課題について，国内で行われてきた従来の研究では，音節（syllable）あるいはモーラ（mora）を単位とした認識・操作を求める課題が一般的であった。それに対し本研究では，アルファベット語圏で一般的となっている音素（phoneme）の操作を求める課題の作成を試みた。また，日本語においてこれまで十分に検討されていなかった正書法的知識（orthographic knowledge）を評価するための課題を作成した。
これらの課題を用い，小学校1年生を対象とした予備調査を行ったところ，日本語話者の児童においても音素の操作が可能である児童がいること，ならびに児童らがかなと漢字の両者における正書法的知識を有することが確認された。
以上の結果を含む予備調査の結果から，本年度に作成された尺度群が国内において適切に使用できると考えられた。このことは，本研究の目的を達成する上で不可欠であったのみならず，読み書き発達に寄与する要因の評価に利用可能な新しい尺度を提示しうる点において，意義のあるものであったと言える。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までに，本研究の本調査に使用する予定の一連の尺度群（心理実験課題および質問紙を含む）の作成と予備調査が，当初の計画通り終了している。これらの尺度群のうち，英語版からの翻訳による課題の作成にあたっては，原版の提供元であるReading Research Laboratory（University of Alberta）との間で協議を重ね，特にそれらの心理測定学的妥当性を重視した。
また，昨年度下旬には，本調査への参加校に対して協力依頼を行い，学校長より内諾を得ている。なお，対象者本人からの協力への承諾は，本調査の実施時において，実施に先立って書面および口頭での説明を行った上で得る予定である。
これらのことから，本研究課題の当初研究目的についてはおおむね順調に進展しており，本年度の当初に予定している第１回目の本調査の実施に向けた準備が整っているものと考える。
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| Strategy for Future Research Activity |
本年度は，縦断的検討の開始年度として，第１回目の本調査を年度当初に，第２回目の本調査を年度終盤に実施することを予定している。これらの本調査を円滑に進めていく上で必要と思われる方策として，以下の２点が挙げられる。
第１点目は，調査実施協力者との連携の強化である。本調査の実施協力者は，研究代表者からの説明を受け，協力に同意した大学院生を予定している。本調査の実施に先立ち，これらの実施協力者に対して一連の尺度群の理論的背景について説明を行い，実施方法に習熟させる予定である。
第２点目は，調査参加校ならびに参加者との関係の深化である。これ関する具体策として，参加校に対する調査成果のフィードバック方法の明示が考えられる。これについては，参加校の教職員を対象とする講演会の実施等を検討している。加えて，調査を円滑に進めるにあたっては，調査参加者となる児童と実施者との間で事前に信頼関係（ラポール）を形成しておくことが不可欠と思われ，調査以外の場面において児童らと接する機会を設けることなどを予定している。
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Research Products
(2 results)
