2012 Fiscal Year Annual Research Report
米国情報通信法制の研究―米国の法制度から日本法への示唆―
Project/Area Number |
24830077
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Research Institution | International Christian University |
Principal Investigator |
寺田 麻佑 国際基督教大学, 教養学部, 准教授 (00634049)
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Project Period (FY) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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Keywords | 情報通信 / 米国法 / 放送法 / 情報通信法 / ネットワーク |
Research Abstract |
① 我が国の法学界における「情報通信法」に関する論議および米国の情報通信関連法制度について網羅的に検索した上で、それらをデータベース化した。 ② 米国における議論と日本の議論との比較につき、米国カリフォルニア大学バークレー校において、研究会を11月24日、11月26日、12月1日に、宍戸常寿東京大学法学部准教授の参加を得て開催した。また、日本の情報通信関連法規の実効性と規制機関の在り方につき、米国における規制との比較の観点から、12月11日に研究会と公開講演会を開催した。特に12月11日に開催した研究会は、元米国FCCのマイケル・マーカス博士とともに行い、わが国の通信・放送に関する規制機関の在り方につき検討した。また、日本法に関し、インターネット関連規制の実効性も含めた情報通信関連規制構造の在り方につき、1月12日に国際基督教大学において公開研究会と公開講演会を開催した。さらに、3月にはワシントン議会図書館において法律の背景を調査し、NHKワシントン支局を訪問した。また、3月17日にマイケル・マーカス博士と研究会を行った。 ③ 上記の成果として、わが国における規制機関の議論は、旧郵政省時代を含めて審議会中心に議論されてきたことが根本的に米国とは異なること、米国のFCCのように裁判所のレビューによって透明性が図られる構造とは異なる構造が想定されるが、透明性に関する議論は、何らかの独立的な規制機関の設立にあたって非常に重要であることが確認された。 ④ 研究実績としては、1月12日に公開研究会において「放送政策の検討-最近の国際放送に関するNHKの判例を踏まえて」を発表したほか、2月15日に行政判例研究会において「NHK国際放送実施命令」に関する判例研究発表を行った。また、12月11日に開催した公開講演会の要旨は、国際基督教大学社会科学研究所編「社会科学ジャーナル」75号に掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成24年9月の交付通知の後、平成24年11月には米国カリフォルニア大学バークレー校において宍戸常寿准教授と近年の情報通信関連法規に関する研究会を開催したほか、米国FCCの官僚であったマイケル・マーカス博士と連絡を取り合い、準備期間は短かったものの、平成24年12月11日に国際基督教大学において情報通信分野における独立規制機関の在り方に関し米国より招待公開講演会を実施し、多くの聴衆とともに研究内容の検討を英語で行った。また、日本法に関して、情報法・放送法に関する公開講演会・研究会を1月12日にも実施した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題今後の推進は、平成24年度において検討した内容を踏まえ、米国の情報通信関連規制の諸問題のうち、特に規制機関の在り方につきマイケル・マーカス博士等と更なる議論を進め、検討を行う。また、わが国において施行されてきた情報通信関連法規の検討を踏まえ、放送法分野につき、論文を発表する。さらに、宍戸常寿東京大学准教授ほか情報・インターネット・放送に関係する有識者を国際基督教大学に招聘して公開シンポジウムを行い、研究で得た知見を様々な観点から検証する。招聘予定者や訪問予定者の事情の変化等が生じた場合には、柔軟にその他の有識者に依頼するなどして対応する。
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