2012 Fiscal Year Annual Research Report
家族ケアを行なう子ども(ヤングケアラー)の社会学的研究
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24830078
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Research Institution | Seikei University |
Principal Investigator |
五十嵐 智子(澁谷智子) 成蹊大学, 文学部, 講師 (90637068)
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Project Period (FY) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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Keywords | ヤングケアラー / ケアを行なう子ども / 子ども支援 / ケアラー支援 / 若年介護者 / 障害のある親 / バイモダル・バイリンガリズム / 手話 |
Research Abstract |
今年度は、ヤングケアリング経験を持つ人へのインタビューデータを分析し、論文「子どもがケアを担うとき――ヤングケアラーになった人/ならなかった人の語りと理論的考察」を『理論と動態』第5号に掲載した(査読付き)。また、聞こえない親を持つ聞こえる人々に関するこれまでの研究を基に、「バイモダル・バイリンガリズム――手話言語と音声言語のバイリンガリズム研究が示す知見」を執筆し、『ことばと社会』第14号に掲載した。 2013年1月には、医療福祉専門職がヤングケアラーの実態をどう認識しているのかを調べるために、東京都医療社会事業協会の全会員859人にアンケートを配布し、402人から回答を得た。そして、「ヤングケアラー」という言葉を知っているか、これまで18歳以下の子が家族のケアをしていると感じた経験の有無、そうしたケースにおいて子どもは何をしていたか、外部サポートはあったか、負担の重いヤングケアラーに対してどんなサポートができると思うか、などの質問への回答を分析し、「ケアを行なう子どもについての調査」報告書にまとめた。この報告書は、ラフバラ大学ヤングケアラー研究班が作成したヤングケアラー・スクリーニングシートとその解説(報告者による日本語翻訳資料)と共に、東京都医療社会事業協会会員に送付した。また、医療福祉専門職へのサポートとして、ヤングケアラー支援のホームページを作成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた英語論文の執筆については、調査のデータの取り方自体を見直すこととなり、平成25年度に延期することとなったが、国内の医療社会福祉専門職に対する調査については、当初の計画以上に進展した。すなわち、平成24年度中に、中間報告書の作成と送付、イギリスのヤングケアラー研究者との連携、国内向けヤングケアラー支援ホームページの作成までをも行なうことができたため、現在までの達成度としては、(2)とした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、病院等で働く医療福祉専門職だけでなく、実際にヤングケアリングを行なっている子どもたちや、その子たちの支援に実際に携わっているソーシャルワーカー等に話を聞く予定である。具体的には、豊中市パーソナル・サポートセンターなどの現場支援を行なう団体と、既に連携を開始している。
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