2013 Fiscal Year Annual Research Report
冷戦期の東アジア・東南アジアから台湾への人の移動をめぐる社会的メカニズムの分析
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24830096
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
八尾 祥平 早稲田大学, アジア研究機構, 助手 (90630731)
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Project Period (FY) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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Keywords | 中華民国・台湾 / 中国国民党 / ネットワーク / 反共 / 人の移動 |
Research Abstract |
今年度の課題は大まかに3点あった。第一に、東アジア・東南アジアから台湾への反共義士・難胞・帰国華僑の受入の際に政府の果たした役割や受入による国家レベルでのインパクトを明らかにすること。第二に、戦後の国民党政権の国際秩序構想や国家・国際戦略にもとづき、東アジアの周縁地域と台湾を結びつけ、人の移動を実際に推進した中間集団としての中国大陸災胞救済総會の役割を明らかにすること。第三に、韓国・ベトナムから台湾への移動によってどのような人びとがやってきて、彼らは来台後の生活実態について明らかにすることである。 第一の点については、中華民国政府の中国国民党が相互に独立して活動しつつ、時には協力することによって反共義士・難胞・帰国華僑の受入がすすめられていたことが判明した。台湾への移動には2つの波があり、前者は1940~50年代は主に国共内戦を背景にした大陸からの移動であり、後者は1960~70年代の主に東南アジアでの「共産化」を要因となった移動であった。 第二の点については、中国大陸災胞救済総會は主に中国国民党幹部により運営されており、東アジア・東南アジアで中華民国とは公式な外交関係のない国家・地域において政府とは異なる外交チャネルを形成し、それは「反共のネットワーク」とでも呼ぶべき人の移動経路を新たに出現させたことが解明できた。 第三の点については、帰国華僑を中心にすでに調査を行っていた日本大学・清水純教授よりご教示をいただき、彼らはいわゆる大陸から台湾へ渡った外省人とは異なり、彼らが引き揚げてきたもともとの居住国単位で互助的な社会集団を組織していることが判明した。その上で、東南アジアから台湾を経由して沖縄へ再移動した帰国華僑の事例を検証したところ台湾と同じく父祖の地ではなくもともとの居住国についての社会組織を設立しており、再移動によってもこの傾向に変化はないことも確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Reason
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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