2012 Fiscal Year Annual Research Report
戦後日本の義務教育財政システム形成過程における中央地方関係に関する研究
Project/Area Number |
24830099
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Research Institution | Japan Professional School of Education |
Principal Investigator |
植竹 丘 日本教育大学院大学, 学校教育研究科, 講師 (90635244)
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Project Period (FY) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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Keywords | 教育財政 / 教職員定数管理 / 戦後教育史 / 中央地方関係 / 地方政治 |
Research Abstract |
本研究は,戦後数十年に亘って「安定」し,近年改革がなされつつある「戦後義務教育財政システム」がどのように完成・確立したのかを明らかにすることを目的としている. 初年度である平成24年度は,第一に,上掲の目的を達成するために,本研究の時期区分でいう「戦後義務教育財政システム確立期」(義務教育標準法が改正され,「定員実額負担」となった1963年前後)の地方団体が,中央による施策をどのように受容したのかという観点に基づいた史料収集を行った.具体的には,東京大学社会科学研究所において群馬県議会会議録を,国立国会図書館において上毛新聞等の地方紙を,群馬県立図書館及び前橋市立図書館において,『群馬教育広報』等教育委員会関係資料及び『ぐんま教育新聞』等教職員組合関係資料を探索,入手した. 第二に,本研究の遂行には,教育学のみならず,政治学,行政学,経済学,財政学,歴史学等,隣接諸分野の知見を必要とする.よって,国内外の諸文献及び史料を網羅的に収集した. 具体的な研究業績としては,交付時期の関係から,投稿中の論文を除き,書籍の分担執筆一件のみとなったが,平成25年度は,平成24年度に収集した史料を用いた研究論文を執筆予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度である平成24年度は,交付時期の関係から,地方団体での史料収集は,群馬県についてしか行うことができず,当初の予定通りにはできなかったが,東京大学の各図書館・室所蔵史料の収集や,国立国会図書館所蔵史料を調査することで,基礎的な史料はほぼ収集することができたと考えている。平成25年度は,論文を執筆する過程で必要になる史料を適宜探索することとなろう。 理論的な部分では,平成24年度に,隣接諸分野における文献を網羅的に収集したものの,実際の検討については未着手であるので,平成25年度は,理論的な枠組みの精緻化を行っていきたいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は,平成24年度に収集した史資料及び平成25年度に追加収集する史料を用い,【完成・確立期】(「教員給与制度」については【立法・受容期】を含む)において,「戦後義務教育財政システム」を構成する3つの制度群に影響を与えた象徴的な諸政策を分析対象とし,それに伴う制度変化の態様を考察する.上記作業を通じて,政策過程に関与したアクターの確定と見取り図の作成を行った上で,政策過程の分析を行う.平成24年度に得られた研究成果は,複数の学術論文を執筆,各種関連学会へ投稿するほか,所属機関の紀要に発表する. 史料収集に関しては,平成24年度は,交付時期の関係から地方史料の調査が充分に行えなかった.平成25年度に群馬県及び岩手県に追加の調査を実施するほか,平成24年度に収集した量的・質的データを基に,特徴的な位置にある,ないしは動きをした地方団体を対象の候補として定め,現地で県議会及び教育関係委員会の会議録,配布資料や,県,教育委員会及び教職員組合の広報誌,機関誌,正史,関係者の回顧録,追悼集等を収集する.交付申請段階では,岐阜県,高知県及び佐賀県を予定している.地方団体史料については,どの候補団体についても,県議会図書室,公文書館,教育委員会資料室,教職員組合図書室,公立図書館等で収集する. また,特に重要な役割を担ったアクターが存在していた場合には,当該アクターの個人所蔵史料についても利用が可能かどうか調査し,可能であれば利用する.
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