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2012 Fiscal Year Annual Research Report

高フィネス光共振器と冷却原子集団を用いた光子数状態の時間的分離

Research Project

Project/Area Number 24840016
Research InstitutionThe University of Tokyo

Principal Investigator

鈴木 はるか(丹治はるか)  東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (40638631)

Project Period (FY) 2012-08-31 – 2014-03-31
Keywords原子・分子物理学 / 量子光学 / 共振器量子電磁力学
Research Abstract

光子を基軸とした量子情報処理を実装する上では、想定を超えた光子数の発生が様々な場面で大きな障壁となっている。この障壁を打破するためには、光パルス中の光子数を計測することのできる光子数分解検出器の開発が必要不可欠である。本研究では、高い量子操作性とコヒーレンスを持つ冷却原子集団を高フィネス光共振器と組み合わせ、これら二つの間の強結合により得られる少数光子での光学非線形性を用いて、光パルスを光子数状態に応じて時間的に分離することを目的としている。これにより、これまでに開発されている光子数分解検出器の弱点である検出器の量子効率の影響を緩和し、現存する単一光子検出器を用いて確実に光子数を測定できるようになることが期待される。
光子数分離の実現に向けて、平成24年度は、(1)高フィネス光共振器の設計、(2)冷却原子集団トラップ用の光源開発、および(3)大気中における共振器のフィネスおよび安定性の評価を行うことを計画した。
(1)に関しては、(A)異なる2つの縦モードが原子の持つ2つの電子励起遷移に共鳴する、(B)原子と共振器モードの強結合実現のために小さいモード径を持つ、という二つの要請を満たす共振器を設計し作成した。(2)については、波長852 nmのDBRレーザーダイオードを準備し、電流および温度変調の入力と、ノイズフィルターおよび逆電圧クランプ機構を備えたレーザーダイオードマウントを作成した。(3)については、特注の高フィネスミラーをシグマ光機株式会社から購入し、そのフィネスを評価した。具体的には、高フィネスミラーを用いて試験用の共振器を作成し、共振器長に変調を加えることで共振器内の光の減衰を観測した。ここから共振器の線幅を見積もり、フィネスを決定した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

平成24年度の計画で設定した目標は(1)高フィネス光共振器の設計、(2)冷却原子集団トラップ用の光源開発、および(3)大気中における共振器のフィネスおよび安定性の評価、の三項目である。このうち高フィネス光共振器の設計は終了し、作成まで行った。また、冷却原子集団トラップ用の光源も完成している。すなわち(1)と(2)については完了している。(3)については、高フィネスミラーを用いて共振器を作成し、フィネスの評価までは行った。ただ、その結果はミラーの設計上の値である100,000に対して一桁低い約15,000であった。現在その原因を究明しているところであるため、共振器の安定性の評価にまでは至らなかったが、平成25年度初頭には達成できる見通しである。上記を総合的に判断すると、本研究はおおむね順調に進展していると言える。

Strategy for Future Research Activity

平成25年度は、以下の計画で研究を推進する予定である。
(1)高フィネスミラーのフィネス低下の原因を解明する。その上で共振器の安定性を評価する。
(2)共振器を真空装置へ導入し、ベーキングを行う。温度が十分に下がった後でカップリング効率を測定し、光軸のずれがないことを確認する。また、ベーキングの過程で共振器のフィネスに変化がなかったことを確認する。さらにトラップ用の光源の周波数をPDH法により共振器に対して安定化させ、冷却原子集団をトラップする。
(3)共振器周波数安定化用の参照共振器を開発し、その共振器に対してPDH法により原子の近共鳴光と非共鳴光を同時に安定化させる。
(4)上述の参照共振器を用いて実験用共振器の共鳴周波数を原子の共鳴に対して安定化させる。また、共振器の透過スペクトルを観測することにより強結合を確認する。
(5)光ポンプ法を用いて原子集団を特定の量子状態に初期化した後、この量子状態から電子励起状態への遷移周波数に対応する光を共振器に入射する。入射光の偏光状態と直交する偏光状態を持つ共振器からの出射光の自己相関関数の時間依存性を、ビームスプリッターと二台の単一光子検出器を用いて測定する。

  • Research Products

    (1 results)

All 2013

All Presentation (1 results)

  • [Presentation] Analysis of vacuum induced transparency with a dual-resonance cavity2013

    • Author(s)
      Yasunari Suzuki, Masaki Ichida, Haruka Tanji-Suzuki, and Masato Koashi
    • Organizer
      The 11th US-Japan Joint Seminar on Quantum Electronics and Laser Spectroscopy “Ultimate Quantum Systems of Light and Matter-Control and Applications”
    • Place of Presentation
      奈良県新公会堂
    • Year and Date
      20130404-20130412

URL: 

Published: 2014-07-24  

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