2012 Fiscal Year Annual Research Report
レニウム・オスミウム分析を用いた原生代後期の環境変動解読
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24840021
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
澤木 佑介 東京工業大学, 理工学研究科, 助教 (00635063)
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Project Period (FY) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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Keywords | ReOsアイソクロン / 後期原生代 / 南中国 / 黒色頁岩 |
Research Abstract |
化石記録から生命は原生代末期からカンブリア紀に急激に進化・多様化した事が知られている。この時代を境に多細胞で硬骨格を持つ生命が出現し始め、現存する全ての動物門が一斉に化石として姿を残すようになった(カンブリア大爆発)。この生命の爆発的進化を起こした原因について、この時代の堆積岩を用いた同位体比測定などから解明が試みられている。生命進化には、当時生命が存在していた海洋組成の変化が密接に関連していた事が予想される。海水組成の変動と生命進化の関連性とその原因の解明は、科学において極めて重要なテーマである。 南中国には原生代末期からカンブリア紀の化石を含んだ地層が連続的に産出するため、この時代の研究に最適な場所である。私たちは2011年度までに南中国の4地域にて19本の掘削試料を採取済であった。既に採取済の掘削試料から約100個の岩石粉末を作成し、海洋研究開発機構のTIMSを利用し、ReとOsを用いたアイソクロン法によって地層に年代を与える事を試みた。その結果、これまで年代の分からなかったカンブリア紀の地層に対し、5.12億年前という絶対年代の制約を行う事ができた。 また、非常に高濃度のReが存在する層を発見した。堆積物中にReを濃集させるためには、海洋がある程度酸化的である必要が示唆されているが、その酸化的な痕跡を岩石中から見つけ出した。 上記の研究成果を国際的な学術雑誌へ投稿する事を予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
書類申請時に掲げた3つの研究計画のうち、そのうちの1つ(レニウム、オスミウムを利用した絶対年代測定)については分析が完了し、既に論文投稿にむけて準備を進めている。残る2つの研究計画に関しても予備分析を終え、本分析に入れる段階に達したため、順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
可能な限り申請時に計画した研究の完成に尽力し、得られた成果を当初の予定通り2年以内に国際誌に投稿し、成果を公表する事を目指す。
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Research Products
(11 results)