2012 Fiscal Year Annual Research Report
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24840027
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
藤嶋 陽平 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教 (70632628)
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Project Period (FY) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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Keywords | 非線形熱方程式 / 爆発問題 / 爆発集合 / Liouville型定理 / 比較原理 |
Research Abstract |
半線形熱方程式の解の爆発現象は有限時間で解が存在し得なくなるという非線形問題特有の現象であり、解の爆発集合の研究は、爆発現象のメカニズムを明らかにする上で重要な問題の1つである。本研究では、拡散係数が十分に小さな状況下での半線形熱方程式の解の爆発集合の位置の特徴付けを行った。平成24年度の研究では、拡散係数が十分に小さな状況下での研究結果を応用し、零ディリクレ境界条件下での半線形熱方程式の境界爆発解の非存在を示した。 境界爆発解の非存在に関する問題は領域の形状や非線形性などの様々な要因が複雑に絡み合う問題であり、その解析は一般には難しい。本年度の研究では、円環領域上における冪乗型非線形熱方程式の球対称解を考え、更には比較原理と拡散係数が十分に小さい場合の研究結果を応用することにより、境界爆発解の非存在を示すことができた。特に、円環領域の内側の境界で解が爆発するか否かは、既存の方法では示すことができなかったが、爆発解の増大度およびその微分に関する適切な評価を導くことにより、その困難を克服することができた。これらの評価を導く際には、冪乗型非線形熱方程式のLiouville型定理、すなわちある状況下における非自明な全域解の非存在に関する定理を用いた。さらにこれらの議論を応用することにより、解の微分に関する評価が得られていない場合でも、解が最適な爆発評価を満たす場合には境界爆発解が存在しないことも示すことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の目標は達成されており、学術論文として国際雑誌Annales de l'Institut Henri Poincare (C) Non Linear Analysisへ掲載された。
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Strategy for Future Research Activity |
冪乗型の非線形項のみならず、指数型非線形項を含む種々の非線形熱方程式を扱えるように研究を進めていく。
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