2012 Fiscal Year Annual Research Report
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24840033
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山名 俊介 九州大学, 数理(科)学研究科(研究院), 助教 (50633301)
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Project Period (FY) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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Keywords | 保型形式 / L函数 / リフティング / 周期 / 保型表現 / regularization / Gross-Prasad予想 / Eisenstein級数 |
Research Abstract |
保型表現の別の群へのリフトが存在する条件や別の群からのリフトとして得られるための条件を見出すことは保型表現論の主要な問題である. 筆者はテータリフトが消えないための必要十分条件を, 筆者は四元数型の簡約対に対して, 完全L函数の臨界点での解析的性質と各素点での局所テータ対応に関する局所的条件の二条件により与えた. 一方, 保型形式のその定義されている群の適当な代数的部分群上の積分は周期と呼ばれる. このような周期とL函数の特殊値の間の関係式や周期の非消滅が別の群からのリフトを特徴付けるというような現象がいろいろな場合に確認されている. regularized周期とは, 跡公式で使われる保型形式のtruncationを適当に修正して定義される混合truncationを使って従来の保型形式の周期積分を収束しない場合にも拡張したものであり, Jacquet, Lapid, Rogawskiらにより, ある種の対合に関する不変部分群の周期積分に対して構成された. 彼らの構成を真似て, 筆者と市野篤史氏は昨年度にGL(n+1)×GL(n)上の保型形式のGL(n)周期やU(n+1)×U(n)上の保型形式のU(n)周期の場合にregularized周期を構成した. 前者によりJacquet, Piatetski-Shapiro, Shalikaの一般線形群のテンソル積L函数の理論が一般の保型形式に対して一般化し, 留数スペクトラムのGL(n)周期の消滅など, 多くの副産物も証明した. さらに後者を応用して, U(n+1)×U(n)の生成的保型表現のU(n)周期が消えないためには, テンソル積L函数の中心特殊値が0でないことが必要であることを証明した. この結果はGan-Gross-Prasad予想の一部である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
筆者が平成24 年度に遂行した研究は主として以下の三つであり, 当初の予定以上の研究の進展があった. 1. 四元数ユニタリ群のテータリフトとL 函数の解析的性質を関係付けた. 2. GL(n+1)×GL(n)上の保型形式のGL(n)周期のregularization を構成し, テンソル積L 函数と関係付けた. 3. U(n+1)×U(n)上の保型形式のU(n)周期のregularization を構成し, Gross-Prasad 予想に応用した.
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Strategy for Future Research Activity |
GL(n+1)とGL(n)あるいはU(n+1)とU(n)などの対に対しては, 大雑把にいって表現の小さい方の群への制限が重複度を持たないという重複度一定理がAisenbud, Gourevitch, Rallis, Schiffmannらにより証明されており, 重複度一を持つ表現、いわゆるdistinguished表現を特定する問題が現在関心を集めている. GL(n+1)とGL(n)の組に関してはJacquet, Piatetski-Shapiro, Shalikaらの積分表示の理論を使って生成的表現の組がdistinguishedであることが証明されている. 今回構成したregularized周期は, 生成的とは限らない表現に対してdistinguished表現を特定する問題など, 局所体上の簡約群の表現論に応用が計画されている. 一方, 保型形式の周期の大域理論でもU(n+1)とU(n)の周期に関するGan-Gross-Prasadを解明する手掛かりになるだけでなるはずである. 特に近年活発な研究が進んでいる相対跡公式の理論などにも応用して, 周期の理論に新しい局面を切り開くことが期待される.
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