Research Abstract |
リフトとは簡単にいえば, 異なる群の保型表現の間の対応を記述する問題であり, Langlandsにより枠組みが予想され, Langlands関手性予想と呼ばれている. 保型表現の別の群へのリフトが存在する条件や別の群からのリフトとして得られるための条件を見出すことは保型表現論の主要な問題である. 一方, 保型形式のその定義されている群の適当な代数的部分群上の積分は周期と呼ばれる. このような周期とL函数の特殊値の間の関係式や周期の非消滅が別の群からのリフトを特徴付けるというような現象がいろいろな場合に確認されている. さて, regularized周期とは, 跡公式で使われる保型形式のtruncationを適当に修正して定義される混合truncationを使って従来の保型形式の周期積分を収束しない場合にも拡張したものであり, Jacquet, Lapid, Rogawskiらにより, ある種の対合に関する不変部分群の周期積分に対して構成された. 彼らの構成を一般化して, 筆者はGalois対(G,H)に対し直積群G×H上の保型形式のH周期や任意の簡約群の被覆群の保型形式の三重積周期のregularized周期を構成した. 前者の応用として, 二次拡大E/Fに対して, GL(n,F)-distinghuishedなGL(n,E)の留数的保型表現を特徴付けた. 後者の応用として, シンプレクティック群とメタプレクティック群の直積の生成的保型表現のFourier-Jacobi周期が消えないためには, テンソル積L函数の中心特殊値が0でないことが必要であることを証明した. この結果はGan-Gross-Prasad予想の一部である. さらに, 三重交代積L函数が極を持つGL(6)の尖点的保型表現は丁度, GL(3)から尖点的保型表現の保型誘導であることを証明したり, Weizmann研究所の研究員のEyal Kaplan氏と一般線形群の二重対称積L函数の積分表示の理論も整備し, その極を一般線形群の二重被覆群の例外表現に関する周期の存在により特徴付けた.
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