2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24840039
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
物部 治徳 明治大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (20635809)
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Project Period (FY) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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Keywords | 細胞運動 / 自由境界問題 |
Research Abstract |
ケラトサイトや癌細胞、白血球などに見られるアメーバ運動は, 細胞運動の一つで, 細胞内のアクチンフィラメントの重合および脱重合が重要な役割を担う細胞を伸縮させる運動である. この細胞運動のメカニズムを解明するために, 近年, 数理モデルを用いた解析が行われている. 申請者は, アクチンの単量体と重合体, 細胞膜の張力の効果を考慮した数理モデルに着目し、細胞運動をするときのアクチンフィラメントの密度分布を調べた。なお、扱う数理モデルは放物型の自由境界問題で記述される。平成24年度の研究目的は、主に細胞が化学物質の濃度勾配 によって一定の形状を保ちながら移動する様子 (走化性) を表わす, 空間 2 次元の進行領域解を構成することであった。研究計画に従い、細胞運動や進行領域解の解析に詳しい研究者と議論を行い情報収集を行った。その結果、特殊な濃度勾配下では領域が円板形状で一定方向に動く解(進行領域解と呼ぶことにする)が少なくとも二つ存在することが確認できた。一つの解は、小さい円板形状で進行速度が速く、もう一つの解は大きな円板形状で進行速度が遅いことがわかった。また、共通の性質として内部のアクチンフィラメントの密度は、進行方向の境界付近に集中していることが確認出来た。これは、進行方向の先端部でアクチンフィラメントの重合が活発に行われ、逆に後部では脱重合が行われていることに対応していることを確認することが出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初研究目的であった、自由境界問題の空間2次元における進行領域解の構成を達成することができた。ただし、構成した進行領域解は領域が円板であり、現象との相違点が確認され、本来の目的であった非球対称の領域を持つ進行領域解の構成までには至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、昨年度に証明した円板領域の進行領域解とは形状の異なる、凸領域または非凸領域をもつ進行領域解の構成を行う。空間2次元の進行領域解を構成する場合、動座標軸を用いることで領域の形状は、適当な常微分方程式系の解を求める問題に帰着することができる。非球対称の領域の場合は、球対称のときと比較すると、より詳細な解の性質を導きだす必要があるが、南雲方程式などに出現するスポット解の構成方法を応用すれば解決の糸口が見つかるだとうと予想される。
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Research Products
(7 results)