2012 Fiscal Year Annual Research Report
ルート系のゼータ関数の値に関係する解析的性質の研究
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24840041
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
岡本 卓也 立命館大学, 理工学部, 講師 (70633197)
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Project Period (FY) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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Keywords | 2重ゼータ関数 / 平均値定理 / ルート系のゼータ関数 |
Research Abstract |
ルート系のゼータ関数は向き付け可能な閉2次元曲面上の半単純連結コンパクトリー群 G による量子ゲージ理論の分配関数の定数部分の拡張であり,その値は物理系との 関わりが深い一種の多重ゼータ関数である.今年度はこのA_2型のルート系のゼータ関数(Mordell-Tornheim型の2重ゼータ関数)の平均値定理に関する研究を行った.平均値定理を考察することは古典的に知られているリーマンゼータ関数の値分布(リンデレーフ予想)の考察のために用いられてきたものであり,2重ゼータ関数に関しても平均値定理を考えることで2重ゼータ関数の値分布(リンデレーフ予想の類似)を与えることができる.また,このA_2型のルート系のゼータ関数は他の型のルート系のゼータ関数と深く関わる重要な2重ゼータ関数であり,この平均値定理を考察することで他のルート系のゼータ関数の値の分布を考察することができる可能性がある. 実際に,今年度はMellin-Barnes積分などを用いることにより,A_2型のルート系のゼータ関数の2乗平均値定理に関しての研究を行い,それについてまとまった結果を得ることができた.具体的には,A_2型のルート系のゼータ関数は3変数関数であるが,その2変数を固定し,1変数の複素部分に関する平均値を考えた.また,この結果はこれまでに知られているEuler-Zagier型の2重ゼータ関数の二乗平均定理に関する結果の一般化をである.そして,それにより,A_2型のルート系のゼータ関数のリンデレーフ予想が成り立つかもしれない領域を与えることができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Mordell-Tornheim型の2重ゼータ関数の平均値定理についてまとまった結果を得ることができ,値分布に関しては順調に研究が進展している. しかしながら,ルート系のゼータ関数の正の整数点での値とDirichletのL-関数の正の整数点での値に関する関係式についての研究がすでに行われていることがわかり,これまで考えていた一般化されたMordell-Tornheim型の2重ゼータ関数をより細分化した2重ゼータ関数の正の整数点での値の考察を行ったが,それがほしい結果に至っていないため.
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Strategy for Future Research Activity |
今後はMordell-Tornheim型の2重ゼータ関数の値の分布や関数関係式についての研究を主に行う.値分布に関しては2乗平均までは研究をおこなったので,同様の方法を用いることで,その一般化である2k乗平均に関しての研究を行う.さらに,それに関係してその2重ゼータ関数の評価も行う.また,Contour積分を用いて,リーマン ゼータ関数の関数等式を導く方法を応用することで,関数等式に関しても研究を行う. ルート系のゼータ関数の正の整数点での値の考察に関しては,一般化されたベルヌーイ多項式の関係式を用いることで,これまで考えていた一般化されたMordell-Tornheim型の2重ゼータ関数をより細分化した2重ゼータ関数の正の整数点での値の考察を行う.
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Research Products
(2 results)