2012 Fiscal Year Annual Research Report
南極積雪中で変質する大気エアロゾル起源物質の構造及び挙動解明
Project/Area Number |
24840044
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Research Institution | National Institute of Polar Research |
Principal Investigator |
大野 浩 国立極地研究所, 研究教育系, 特任助教 (80634625)
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Project Period (FY) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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Keywords | 極地 / 気候変動 / エアロゾル / 雪氷化学 |
Research Abstract |
1) 顕微ラマン分光法による氷床表層試料分析方法の確立 雪試料をそのまま分析にかけると、その複雑な表面形態のために光の乱反射が生じて、分析ターゲットである氷に介在している数ミクロンの微小不純物粒子に対して適切にレーザー照射、ラマン散乱集光することができない。この問題を克服するために、申請者は雪試料を圧密氷化させて測定する方法を開発した。低温室内でペレタイザー(熱プレス機用金型)と一軸圧縮機を使って雪試料を圧縮・氷化させた後に、試料表面に対してミクロトームによる平滑処理を施した。低温室の温度環境(-15℃)においては、5MPa程度の圧力を数十分加えることで、ラマン分析に適した試料を形成できることが分かった。 2) 南極内陸調査(試料採取) 申請者は第54次南極地域観測隊内陸旅行に参加して、本研究で用いる氷床表層試料を採取した。南極内陸部の4地点(ドームふじ、MD364、みずほ、H72)で積雪試料を採取する計画であった。ドームふじとみずほにおいては、予定通り試料を採取できた。MD364のかわりに、その近くのMD314でサンプリングを行った。H72については、天候不順等の理由で行動を中止した。また、当初予定されていなかった新ドームふじ基地候補地および80Sで試料を採取した。採取した積雪試料を、S30地点から昭和基地までヘリ輸送した。その後試料を基地沿岸に停泊していた砕氷船しらせの冷凍庫に搬入し、日本へ向けて発送した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
積雪サンプルを顕微ラマン分析するための試料形成方法を開発した。 南極内陸調査に参加して、氷床積雪試料をほぼ予定通り採取することができた。積雪試料は、平成25年4月に日本へ無事到着し、現在北海道大学低温科学研究所の冷凍室に保管されている。
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Strategy for Future Research Activity |
先ずは、南極積雪試料を従来型のイオン・同位体分析することによって、積雪の基本的な物理・化学的特徴を把握する。続いて、イオン・同位体分析の結果をもとに、より詳細な分析が必要な試料(例えば、水溶性化学成分の急激な化学変化が予想される箇所)を絞り込み、本研究で開発したラマン分光(非融解)測定を行う。 本研究で得られた化学分析の結果を総合的に解析することで、氷床表層プロセスが氷コア化学シグナルの形成過程に与える影響を評価するとともに、氷床コア化学シグナルの解釈を試みる。
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Research Products
(1 results)